労働時間

かかりつけ薬剤師になるための研修は労働時間?

みなさん、学会や研修には参加してますか?

ちょうど11月5-6日の2日間、福岡県で日本薬局学会の学術総会が開かれていましたね。

薬剤師など医療従事者は、他の職種と比べて学会や研修への参加が多いです。

しかしそういった学会や研修の時間は、労働時間として扱われているでしょうか。

労働時間とは何か

学会や研修の参加が労働時間となるかを考えるためには、まず労働時間とは何なのかを考える必要があります。

労働時間とは一般的に、

使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間

とされています。

これはつまり、会社の明示または黙示の指示により業務に従事する時間が、労働時間に該当するということです。

学会や研修も業務命令であれば労働時間

学会や研修は仕事のない日曜日等に参加することが多いと思いますが、その場合でも会社の命令により参加が義務づけられている場合、その時間は労働時間に該当すると考えられます。

もし明示的に義務付けられていなかったとしても、例えば

  • 不参加だった場合に業務を行うことが出来ないような場合
  • 不参加だと減給の対象となる場合

こういった場合には、事実上参加を強制されている黙示の命令となり、労働時間に該当する可能性が高いです。

管理薬剤師など役職に付いていると、薬局を運営していくために参加が必要な研修もあるのではないでしょうか。

また会社から義務付けられていなくても、行政機関から参加を義務付けられる研修もあると思います。

これらの時間は実質的に参加が義務となり、労働時間に該当する可能性が高いでしょう。

また薬局によっては、昼休みや閉局後にメーカーへお願いして、薬局内で勉強会をするようなこともあると思います。

この勉強会の時間も、もし参加が義務付けられている場合には労働時間となる可能性が高いでしょう。

かかりつけ薬剤師制度

ここまで、学会や研修の時間についての一般的な考え方を紹介しましたが、ここでかかりつけ薬剤師制度について考えてみます。

かかりつけ薬剤師となるための要件の一つに、

  • 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること

というものがあります。

では研修認定薬剤師はどうやって取得するかというと、学会や研修に参加し、単位を取得する必要があります。

もう少し具体的にいうと、認定薬剤師の新規取得には4年以内に40単位以上(各年5単位以上)を取得する必要があり、更新するにも3年ごとに30単位以上(各年5単位以上)を取得する必要があります。

ここで、前半の内容と繋がります。

皆さんの薬局では、かかりつけ薬剤師となることは義務でしょうか。

義務とは言われていなくても、地域支援体制加算を算定するための条件となっており、実質的に義務となっている薬局も多いと思います。

そのような場合、黙示の命令があったと考えることもできます。

研修認定薬剤師のための学会や研修、e-ラーニングは労働時間か

では次に、かかりつけ薬剤師が義務なら、そのための学会や研修に参加する時間は労働時間として扱われているでしょうか。

e-ラーニングで取得する方も多いですが、そのe-ラーニングの時間は労働時間となっているでしょうか。

私の知る限り、学会や研修は労働時間になっていても、家でe-ラーニングをしている時間が労働時間として認めらている薬局はありません。

もちろん学会や研修への参加が任意の自己研鑽であれば、労働時間として扱われなくても問題ありません。

しかし実際は、かかりつけ薬剤師の同意取得数が評価に反映され、ノルマが課されている薬局もあります。

そうなってくると、学会や研修、e-ラーニングの時間は労働時間として扱う方が適切でしょう。

まとめ

以上今回は、学会や研修の時間が労働時間として扱われるのかどうかという記事でした。

かかりつけ薬剤師制度は賛否あるところですが、突然なくなるようなこともないでしょう。

そうなってくると、学会や研修、e-ラーニングのための時間を労働時間として扱うかどうか、早いうちに会社としてきちっと決めておくべきでしょう。

実際に認定薬剤師の取得で会社と揉めて、退職に繋がっている薬剤師もいるくらいです。

個人的には、かかりつけ薬剤師に関わる学会や研修は労働時間、e-ラーニングは勤務時間中に見るようにルールを作ってしまうのが良いかなと思っています。