コラム

薬局やドラッグストアの短時間勤務制度を比較した

気付けばもうすぐ4月ですね。どうも薬剤師ttです。

ちょうど1年くらい前ですが、こんなツイートをしました。

最近また時短勤務について調べる機会があり、せっかくなので薬局やドラッグストアの時短勤務についても調べて比較してみました。

就職活動や転職活動の参考にでもなれば嬉しいです。

短時間勤務制度とは

短時間勤務(時短勤務)とは、育児介護休業法によって事業主に義務付けられている短時間勤務制度のことを指します。

単に他の従業員と比較して1日の労働時間が短い勤務のことを指す場合もありますが、今回の記事では法律によって義務付けられた制度のことを指すものとします。

育児介護休業法が義務付ける短時間勤務制度は、

  • 1日の所定労働時間を原則として6時間とする
  • 1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、あわせて1日の所定労働時間を7時間とするような措置の導入も可能

このような制度です。

育児中の従業員は他の従業員と同じようにフルタイムで働くことが困難なため、勤務時間を短くすることで育児と仕事の両立を可能とする制度の導入を、会社に義務付けているということです。

短時間勤務制度を利用可能な従業員

短時間勤務制度は全ての従業員が利用可能というわけではなく、以下の要件を全て満たす必要があります。

  1. 3歳に満たない子を養育する労働者であること
  2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  3. 日々雇用される者でないこと
  4. 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと

簡単に言えば、3歳未満の子供を育てながら働いている正社員ということになります。

制度利用の除外

また、従業員と事業主の取り決めによっては、

  1. 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない従業員
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

これらの従業員について制度の利用を除外することも可能です。

実際、働き始めて1年経つまでは短時間勤務制度を利用できない会社もあります。

育児介護休業法ということで、実は介護をする従業員に対する短時間勤務制度もあるのですが、今回は省略します。

3歳未満という縛りは正直厳しい

そんな短時間勤務制度ですが、

子供が3歳になるまでしか利用できないのは正直厳しい

というのが、実際に子育てしている親としての感想です。

子供って2歳も3歳もたいして変わりません。

子供が3歳になったからといって、他の従業員と同じようにフルタイムで働くのは簡単ではありません。

事実、子供が3歳になって短時間勤務制度が利用できなくなるタイミングで、正社員からパートに切り替えて働く時間を短くしたり、退職してしまう方が大勢います。

3歳以降の短時間勤務制度は会社次第

育児介護休業法で義務付けられた短時間勤務制度は子供が3歳になるまでですが、会社としてそれを上回ることは問題ありません。

実際に薬局やドラッグストアでは、子供が小学生になるまでや、小学1年生まで短時間勤務が可能な会社も多いです。

もし出産や育児に関心があり、なおかつ仕事も長く続けたいという方であれば、短時間勤務が少しでも長く利用可能な会社で働くという選択もありです。

そんなわけで、薬局・ドラッグストア各社で短時間勤務がいつまで可能かを調べてみました。

厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査では、育児のための短時間勤務制度がある事業所割合は68.0%となっています。また、制度のある事業所における最長利用可能期間は、

3歳未満:55.7%
3歳~小学校就学まで:18.9%
小学校入学~小学校3年生まで:11.5%
小学校4年生~小学校卒業まで:6.5%
小学校卒業以降も利用可能:7.4%

となっています。

薬局・ドラッグストアの短時間勤務制度

不明な会社もありましたが、調べられる範囲で調べた結果がこちらです。

アイン薬局 小学校就学前まで
日本調剤 小学校就学前まで
クラフト(さくら薬局) 小学校1年生終了まで
クオール 小学校1年生終了まで
ファーコス薬局 小学校3年生終了まで
総合メディカル 小学校1年生終了まで
I&H(阪神調剤) 小学1年生1学期終了まで
アイセイ薬局 小学校就学前まで
たんぽぽ薬局(トーカイ) 小学校1年生終了まで
メディカル一光 小学校1年生終了まで
アポクリート株式会社 小学校3年生終了まで
株式会社フロンティア 子供が3歳に達するまで
ウエルシア 中学1年生になるまで
ツルハ 小学校3年生終了まで
サンドラッグ 中学1年生になるまで
マツモトキヨシ 中学1年生になるまで
スギ薬局 小学校3年生終了まで
株式会社クリエイトエス・ディー 小学校3年生終了まで

※制度の利用にあたって細かな条件など存在する場合ありますので、詳細については各社の担当に直接確認をお願いします。

「小学校就学前まで」とそれ以降の違い

調べてみた結果、大手の薬局やドラッグストアではほとんどの会社で小学校就学まで、あるいはそれ以降も利用可能としていました。

雇用均等基本調査の数値と比較すると、非常にありがたい話ですね。

しかし実際のところ、「小学校就学まで」「小学生1年生まで」「小学校3年生まで」に、利用者としての違いはあるのでしょうか。

実は「小1の壁」という言葉があるように、小学校就学にあたり、それまでと同様に仕事を続けることが非常に困難となる状況があります。

困難な理由としては、

  • 学童等の終了時間が早い
  • 夏休み等の長期休暇の預け先
  • 宿題など勉強のサポート
  • PTAや保護者会など親の参加が必要な行事の増加

などが挙げられます。

学童の終了時間

一般的に、公立の学童の終了時間は18時や18時半です。延長できても19時の学童が多く、保育園ほどは融通が利きません。そのため、仕事の終わる時間が遅い職場では、フルタイムで働くことが難しくなってしまいます。

薬局やドラッグストアも、フルタイムで働くとなると、18時や18時半ピッタリに帰れる職場って意外と少ないです。

勉強のサポート

小学校になると、学校の宿題が出るようになります。これまであまり勉強というものに馴染みが無かった子供にとって、宿題をするにもまだ親のサポートが必要です。そういった時間の確保も、フルタイムで働くうえで問題となってきます。

他にも、これまでには無かった春休み・夏休み・冬休みといった長期休暇が発生し、お弁当作りのような負担が増したりもします。

このような事情から、短時間勤務制度は「小学生1年生まで」や「小学校3年生まで」など、少しでも長く利用できると嬉しいのが本音です。小学校4年生くらいになれば、放課後に1人で留守番することも可能になってきますからね。

制度も大事だけど・・・

以上、今回は薬局やドラッグストアの短時間勤務制度について調べて比較してみました。

会社によって多少の差はありますが、それでも大手の薬局やドラッグストアはかなり恵まれた環境と言えそうです。

ですが最後に伝えたいのが、

制度はあったとしても利用しやすい環境かどうかが重要

ということです。

例えば、

一人薬剤師の店舗で、時短勤務というのは現実的でしょうか。

従業員の多い店舗に異動と言われて、保育園や学校の時間もある中、簡単に異動が可能でしょうか。

利用したとして、周りの理解が無ければ働きにくく感じるのではないでしょうか。

このように、制度があったとしても、きちんと利用できる環境かどうか、利用しやすい環境かどうかが重要なのです。

そういった内情については、その会社で実際に制度を利用して働いている従業員さんに聞いてみないと分からない部分もあります。

店舗によって環境が異なったりもしますからね・・・

短時間正社員制度

今回は短時間勤務制度について焦点を当てましたが、短時間正社員という制度を導入している会社も増えています。

短時間正社員とは何かというと、

  • 通常の正社員の所定労働時間が週40時間のところ、短時間正社員は週35時間や週32時間など短くなり、それ以外は通常の正社員と全く変わらない

という制度です。

短時間正社員の制度があれば、短時間勤務制度が何歳まで利用可能か気にする必要もありません。

短時間勤務制度の利用可能年齢と合わせて、短時間正社員制度があるかどうかも確認しておくと良いでしょう。

私の知る限りだと、薬局やドラッグストアで短時間正社員制度を導入している会社はまだ少ないです。

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