コラム

仕事と育児・介護の両立支援対策の今後の方向性

12月4日、第65回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催され、仕事と育児・介護の両立支援対策の充実に関する案が示されました。

ご存知のとおり日本は少子高齢社会であり、育児や介護をきっかけに離職する人を減らし、少しでも労働力を確保していく必要があります。

そんな中、これまでも特に育児について様々な支援がされてきましたが、今後も更なる支援の充実を目指して検討が進められています。

そして今回、分科会にてかなりの案が示されましたので紹介いたします。

ちなみに、案といいつつ基本的にはこの案の通りに進められますので、ほぼほぼ確定事項と考えてもらって良いと思います(笑)

子が3歳になるまで

テレワークの活用促進

テレワークを事業主の努力義務とする。

ただし、業務の性質・内容等からテレワークが困難な労働者の配置転換や、新たな職種等を設けることまで事業主に求めるものではない。

短時間勤務制度の見直し

現行の短時間勤務制度を維持したうえで、他の勤務時間も併せて設定することを一層促すため、その旨を指針で示す。

短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置に関する仕組みを維持し、代替措置にテレワークを追加する。

 現行制度

事業主は、短時間勤務制度について、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者」として労使協定により適用除外とされた労働者に関して、育児休業に関する制度に準ずる措置又は「始業時刻変更等の措置」を講じなければなりません。

「始業時刻変更等の措置」としては、次のいずれかの措置があります。

  1. フレックスタイムの制度
  2. 始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
  3. 労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

子が3歳以降小学校就学前まで

柔軟な働き方を実現するための措置

各職場の事情に応じて、事業主が以下の中から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者は事業主が選択した措置の中から1つ選べることとする。

  1. 始業時刻等の変更
  2. テレワーク等(所定労働時間を短縮しないもの)
  3. 短時間勤務制度(育児のための所定労働時間の短縮措置)
  4. 保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配および費用負担等)
  5. 新たな休暇の付与(労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための休暇)

事業主には、制度を利用できるようになる子が3歳になるまでの適切な時期に、労働者に対して制度の説明と取得意向を確認するための面談等を行うことを義務付ける。

子の看護休暇制度の見直し

取得事由

感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式および入学式を対象)にも利用できるようにする。

それに伴い、名称を「子の看護等休暇」に見直す。

子の対象年齢

小学校3年生修了時までとする。

取得可能日数

現行の日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)を維持する。

育児休業取得状況の公表

男性の育児休業取得率の公表義務の対象

常時雇用する労働者数が「1,000人超の事業主」から「300人超の事業主」に拡大する。

公表時における社内の状況に関する説明

小規模企業では対象となる男性労働者数が少ない場合があるため、厚生労働省で運営するウェブサイト「両立支援のひろば」において説明欄を設けるとともに、当該説明欄や企業のウェブサイトにおいて公表時に社内の状況に関する説明ができる旨周知する。

仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等

家族の介護の必要性の申出をした労働者に対する個別の周知等および環境整備

労働者が申出をした場合に、事業主が両立支援制度等に関する情報を個別に周知し、意向を確認することを義務付ける。

40歳のタイミング等の効果的な時期に、事業主が労働者に対して、介護に関する両立支援制度の情報を記載した資料等を配布する等の情報提供を一律に行うことを義務付ける。(国は情報提供のためのひな形等を提供)

雇用環境の整備

事業主が、次のいずれかの措置を講じることを義務付ける。

  • 介護に関する両立支援制度に係る研修の実施
  • 介護に関する両立支援制度に関する相談体制の整備
  • 介護に関する両立支援制度の利用事例の収集・提供
  • 介護に関する両立支援制度および両立支援制度の利用促進に関する方針の周知

介護期のテレワーク

選択的措置義務とはせず、努力義務とする。

業務の性質・内容等からテレワークが困難な労働者の配置転換や新たな職種等を設けることまで事業主に求めるものではないこととする。

まとめ

以上、分科会で示された案はこんな感じです。細かいのは省略しましたが。

特に短時間勤務制度や子の看護休暇制度の見直しは、育児中の方に対する影響が大きいです。

今後の方向性を早めに把握して準備を進めていきましょう。

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