労働安全衛生

職場のトイレは男女別々?労働安全衛生法について知ろう!

つい先日の話ですが、経済産業省に勤めるトランスジェンダーの職員が、職場の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えた裁判で、最高裁判所はトイレの使用制限を認めた国の対応は違法だとする判決を言い渡しました。

これについて今回のブログでの言及は避けますが、このニュースを見て思い出したのが職場のトイレに関する規則のニュースです。

もう2年くらい前の話ですが、職場のトイレは「男女別々」と定めてきた規則について、
厚生労働省が従業員10人以内なら「共用1個で良い」とする例外規定を設けることを決めた、というニュースです。

このニュースを聞いて、そもそもトイレに関して法律で定められていることを知らなかったという人が多くSNS等で話題になりました。

ニュースになったトイレに関する規則は

  • 事務所衛生基準規則
  • 労働安全衛生規則

ですが、この2つは労働安全衛生法に基づいて定められています。

そもそも労働安全衛生法を知らない人も多いと思うので、今回は労働安全衛生法について紹介します。

知らないところで普段の仕事に関わっていて意外と面白いです(笑)

労働安全衛生法が成立した経緯

労働安全衛生に関する法律は、もともと労働基準法の第5章【安全および衛生】に定められていました。

しかし1960年代の高度成長期に経済の発展の陰で多くの労働災害が発生し、毎年6,000人以上の労働者が死亡していました。

そうした状況を受けて、当時の労働省や専門家が労働安全衛生に関する法令の整備に着手。

1972年に労働基準法から分離するかたちで成立したのが労働安全衛生法です。

労働基準法が

『労働に関する最低限の基準を確保する法律』

なら、労働安全衛生法は

『職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進する法律』

になります。

労働安全衛生法の内容

次に、労働安全衛生法の内容を紹介します。

全てを細かく紹介するのは無理なので、少しだけ抜粋して簡単に紹介します。

安全衛生管理体制

  • 業種によって、職場の人数が〇〇人以上の場合は管理者を選任しましょう。
  • ○○人以上の職場は委員会を設置し、月1回は開催しましょう。

こういった内容が定められています。

産業医なんかは聞いたことありますよね。50人以上の職場では、産業医を選任する必要があります。

また、薬局を含む業種でも、従業員が10人以上50人未満の場合には衛生推進者を選任し周知する必要があります。

もしあなたが10人以上の店舗で働いているなら、衛生推進者は選任されていますか?

健康診断

  • 従業員を採用するときには健康診断を受けてもらいましょう。
  • 年1回は定期健康診断を受けてもらいましょう。

こういった内容が定められています。

おそらく皆さんの会社でも案内があり、健康診断を受けていると思います。

その根拠となるのが労働安全衛生法であり、検査項目についても定められています。

薬剤師は関係ありませんが、特定の業種については更に特定項目についても検査が必要だったりします。

面接指導

  • 残業時間の多い従業員には、医師による面接指導を受けてもらいましょう。

このような内容が定められています。

具体的には、週40時間を超える労働時間が月80時間超で疲労の蓄積がある場合、労働者の申出により面接指導を受けさせる必要があります。

皆さんの職場には、残業時間が月80時間を超えるような薬剤師はいませんか?

その他

この他にも、

  • メンタル不調を事前に防止するためのストレスチェック制度
  • 受動喫煙の防止

などが定められています。

改めて読んでみると、身近な内容もあって面白い法律です。

労働安全衛生法に基づく省令

ここまで労働安全衛生法について紹介してきましたが、より細かい内容については

  • 事務所衛生基準規則
  • 労働安全衛生規則

のような省令に定められています。

トイレの件もそうですし、「職場に救急箱を設置しましょう。」のような定めもあります。

当然、薬局やドラッグストアにも適用されますので、興味があれば一度読んでみると面白いかもしれません。

まとめ

以上、今回は、労働安全衛生法について紹介しました。

あまり有名ではない労働安全衛生法ですが、意外と普段の業務に関係していることが分かっていただけたと思います。

労働基準法と同じく労働安全衛生法も労働者のための法律です。

労働者が働きやすい職場を作り、労働者が健康的に働くのを助けてくれる法律ですので、ぜひ興味を持っていただければと思います。