個人情報

知っておきたい個人情報とマイナンバー

薬剤師は日々の業務において、患者の健康や処方に関する重要な情報を取り扱うため、個人情報の管理には特に厳格な対応が求められます。

薬剤師業務を通して知った患者の情報はほぼ全てが個人情報ですし、最近ではマイナンバーカードも身近ですね。

個人情報の取り扱いを誤ると、患者の信頼を損なうだけでなく、法的責任を問われることもあります。

本記事では、薬剤師が取り扱う個人情報の種類、具体的なリスクと対策について詳しく解説していきます。

個人情報とは?

基本的な個人情報

薬剤師が取り扱う個人情報には、以下のような基本情報が含まれます。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 電話番号
  • 健康保険証の情報
  • マイナンバー(医療機関での請求などに関連)

機微(センシティブ)情報

個人情報の中でも特に慎重に扱う必要があるのが機微情報(センシティブ情報)です。

これらの情報は、差別や不利益につながる可能性があるため、個人情報保護法でも特別に保護されています。

  • 身体的特徴(指紋、顔認証データ、DNA情報)
  • 健康情報(病歴、診断結果、障害の有無)
  • 信仰や思想(宗教、政治的信念、労働組合の加入情報)
  • 財務情報(銀行口座情報、クレジットカード情報)

特に医療の現場では、患者の健康や治療に関する情報に触れる機会が多いですね。

  • 処方箋情報・・・処方された薬の種類、投薬量、服用方法、服薬履歴
  • 病歴・診断情報・・・患者が抱える病気や疾患、既往歴やアレルギー情報
  • 検査結果・・・血圧、血糖値、腎機能などの医療データ
  • 精神疾患やHIVなど特にデリケートな疾患情報

日常的に知る機会の多いこれらの情報は、特に気をつけて扱うようにしましょう。

適用される個人情報保護法の規制

個人情報保護法

日本では、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」があり、薬剤師もこれに従う必要があります。

特に、以下の点に注意が必要です。

目的外利用の禁止
取得した個人情報は、事前に説明した目的以外で使用してはならない。
例:患者の同意なく、服薬情報を第三者(企業など)に提供することは禁止。

第三者提供の制限
患者の同意なしに個人情報を第三者へ渡すことは禁止。
例外:緊急時(救急搬送時に医師へ情報を提供する場合など)

適切な管理義務
個人情報の紛失や漏洩を防ぐための適切な対策が求められる。

薬剤師法における守秘義務

薬剤師は、個人情報保護法に加えて薬剤師法(第4条)に基づく守秘義務があります。

薬剤師法第4条(秘密保持義務)
薬剤師は、正当な理由なくその業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない

患者の個人情報を適切に管理することは、法律上の義務であり、これに違反すると罰則が適用される可能性があります。

マイナンバー

ここで、マイナンバーについても説明していきますね。

マイナンバーに触れる機会も多くなってきているのではないでしょうか。

患者さん自身に機械を操作して、スタッフが触れる機会自体は少ないかもしれません。

しかし、マイナンバーは「特定個人情報」に当たるため特に注意が必要なことを知っておきましょう。

法的な定義

「特定個人情報」とは、マイナンバー(個人番号)を含む個人情報のことを指します。

これは、2013年に施行された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」によって定義されています。

マイナンバー法 第2条第8項
「特定個人情報」とは、個人番号をその内容に含む個人情報をいう。

つまり、マイナンバーそのものだけでなく、マイナンバーが含まれるデータや書類も「特定個人情報」として扱われます。

特定個人情報の具体的な対象

特定個人情報には、以下のようなものが含まれます。

  • マイナンバー(個人番号)
  • マイナンバーを記載した住民票
  • 源泉徴収票や給与支払報告書(マイナンバー記載あり)
  • 社会保険・雇用保険の届出書類
  • 確定申告書(個人番号記載)
  • 医療機関で取り扱う健康保険関連の書類
  • マイナンバー付きの医療費控除の申請書類

一般的な個人情報との違い

名前、住所など、他の個人情報との扱いの違いを図にまとめています。

特に、マイナンバーは、他の個人情報に比べて厳しい罰則が定められています。

医療機関で起こりやすい個人情報のトラブル

渡し間違い

  • 誤って他の患者に処方箋を渡してしまう
  • 処方箋や調剤録、その他印刷物をゴミ箱にそのまま捨てる(シュレッダーを使用していない)
  • FAXやメールで送信する際の誤送信
  • お薬手帳を返す際、違う人に渡してしまう
お薬手帳や薬情を渡し間違えたときには、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要です薬剤師と社労士として活動してる私ですが・・・ 実は先日、個人情報保護士という資格を取得しました。 その名のとおり個人情報保護...

店内での会話による情報漏えい

  • 受付カウンターで患者の症状や薬の詳細を大声で話す
  • 待合室で患者同士が処方内容を聞かれてしまう
  • 電話応対時に、他の患者に聞こえてしまう

マイナンバー

  • マイナンバーを用いた医療保険証の確認
  • 薬局での患者の社会保険手続き
  • 従業員の社会保険・税務手続き

患者さんのマイナンバーの情報だけでなく、スタッフの手続きの際の情報も、注意して取り扱う必要があります。

まとめ

薬剤師は、患者の健康と安全を守るために個人情報の適切な管理が不可欠です。

処方箋情報や、各種記録の取り扱いには、特に慎重な対応が求められます。

スタッフ同士で、個人情報の大切さの認識を合わせていくことも大切です。

患者さんの信頼と安全を守るために、日々の業務の中でしっかりとした個人情報管理を実践しましょう。