薬局やドラッグストアで働いていると、たまに
「開局時間の30分前には出勤して掃除や開店準備をするように」
といった謎ルールの存在する店舗があります。
しかもそういった時間、だいたい労働時間にならないんですよね。
サービス残業と同じようなもんです。
今回はそういった
- 開局前の掃除
- 仕事にむけて白衣に着替える時間
こういった時間は労働時間として扱われるのか。
このあたりのことを簡単に解説します。
労働時間とは
まず初めに、そもそもの「労働時間」というものの考え方をまとめておきます。
労働時間は、
- 会社の指揮命令下に置かれている時間
- 雇用契約や就業規則で決定されるものではない
この2点が重要です。
例を挙げると、
雇用契約では『9:00~18:00(休憩1時間)』となっているが、実際には会社の指示で朝8:30に出勤し、開局準備や清掃を行っていた。
この場合、雇用契約では『9:00~』となっていても、実際には8:30から会社の指揮命令下に置かれていたわけなので、労働時間は『8:30~』となります。
これが労働時間についての考え方です。
明示的な指示だけでなく黙示的な指示も含まれる
また、会社からの指示には明示的なものだけでなく黙示的なものも含まれます。
黙示的とは、明確な指示ではなく、暗黙のうちに気付かせるような方法で示すことを言います。
例えば、会社が残業を指示していなくても、とても18:00までには終わらないような
業務量が与えられており、実際に20:00まで残って業務を終わらせたとします。
その場合、明確な指示が無かったとしても、黙示的な残業指示があったと認められる可能性が高くなります。
開局前の掃除は労働時間?
以上を踏まえて、タイトルにもある開局前の掃除や着替えについて考えます。
まず先に掃除についてですが、ここまで読んでもらえれば分かるのではないでしょうか。
もし会社から指示があって掃除を行っている場合は、労働時間となる可能性が高いです。
開局前の朝礼や点呼も労働時間
掃除と同様、朝礼についても労働時間となる可能性が高いです。
薬局やドラッグストアでは朝礼で情報共有してるところも多いですよね。
過去の裁判では、駅員の始業時における点呼時間等(1日約80秒)が労働時間として認められた例もあります。
これはあくまでも個人的な考えですが、薬局やドラッグストアのような形態の場合、オープンが9時なら勤務開始が9時というのは少し無理があると思います。
オープンしてすぐに患者さんが来る可能性もある以上、その前に開局準備をしないといけないですからね。
開局前の着替えは労働時間?
次に、着替えについてです。
着替えについては、掃除や朝礼とは異なり、労働時間として認められるケースは限定的です。
認められるケースというのは、
- 会社の指示により
- 会社の指定した場所で着替えを行っている
こういったケースです。
薬局やドラッグストアでたまにあるのが、スーツで通勤の後、店舗の休憩室で白衣に着替えてから店に出るケース。
この場合、これが会社の指示だと、労働時間となる可能性があると思います。
一方、会社の指示が無く、通勤時の服装が自由で、休憩室での着替えは義務付けられていない場合。
この場合には、たとえスーツで通勤して休憩室で着替えたとしても、その時間は労働時間ではなく、労働のための準備時間とみなされます。
ただし、この着替えの時間に関しては、意見が別れるケースも多いため、絶対ではないと思っておいてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
労働時間は賃金に大きくに関わってくるので、
「この時間は労働時間なのか、労働時間ではないのか」
というのは、よく問題になる部分です。
これに対して確実な答えというものはなく、それぞれ「会社の指揮命令下に置かれているか」で個別に判断していくこととなります。
もし何か「これって労働時間じゃないのか?」と思うことがあれば、気軽にご相談ください。