賃金

給与から引かれる社会保険料について解説

日本には様々な社会保険制度がありますが、その制度を維持するため、給与からは多くの社会保険料が引かれています。

給与を貰ったことがある方なら、引かれる金額の大きさに驚かれるのではないでしょうか。

今回は、その給与から引かれている社会保険料について解説します。

忘れてはいけないのは、薬剤師の給与の多くはその社会保険料の中から支払われているということです。

社会保険料の金額の大きさにあまり怒らず、しっかり理解しておきましょう。

社会保険料の種類

給与をもらった時には、一緒に明細書も貰っていると思います。

オンラインで確認が可能な会社も多いかもしれません。

その明細書を確認してもらうと、【控除】といって、給与から引かれている金額があると思います。

支給額(額面なんて言ったりします)から、控除額を引いた金額が、実際に給与として貰える金額になります。

控除の内訳としては、

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税

この辺りは多くの方が控除されていると思います。

この他にも、

  • 40歳以上であれば介護保険料
  • 確定拠出年金を行っていればその掛金
  • 2年目の6月からは住民税

などなど、会社や人によって様々な金額が控除されます。

今回はこの中から、社会保険料といわれる

  1. 健康保険料
  2. 厚生年金保険料
  3. 介護保険料(40歳以上)
  4. 雇用保険料

について解説していきます。

社会保険料

広い意味では雇用保険料も社会保険料に含まれるのですが、狭い意味では以下の3つが社会保険料と言われます。

①健康保険料
②厚生年金保険料
③介護保険料

基本的にこの3つはセットで考えます。

というのも、従業員それぞれの標準報酬月額に対して、

  • 健康保険料は標準報酬月額の〇〇%
  • 厚生年金保険料は標準報酬月額の△△%
  • 介護保険料は標準報酬月額の□□%

といったかたちで決まるからです。

標準報酬月額って何ですか?仕事をして貰う給与からは、色々なものが引かれます。 所得税や住民税、雇用保険料に社会保険料・・・ この中で、所得税や住民税、...

健康保険料と介護保険料の保険料率

次に保険料率について。

〇〇%、△△%、□□%を保険料率というのですが、健康保険料と介護保険料の保険料率は、加入する健康保険によって異なります。

加入しているのが『協会けんぽ』か『健康保険組合』か。

薬剤師の方ならご存じかと思いますが、保険証の保険者番号が、

  • 協会けんぽ:01から始まる
  • 健康保険組合:06から始まる

このような違いがあります。

また、協会けんぽであれば都道府県によって、健康保険組合であれば加入する組合によって
保険料率が異なります。

例えば令和5年度だと、
協会けんぽの東京都の場合、

  • 健康保険料率は10.00%
  • 介護保険料率は1.82%

東京薬業健康保険組合の場合、

  • 健康保険料率は9.70%
  • 介護保険料率は1.70%

となっています。

健康保険料と介護保険料の例

標準報酬月額が30万円とすると、

協会けんぽの東京都の場合、

  • 健康保険料は30,000円
  • 介護保険料は5,460円

東京薬業健康保険組合の場合、

  • 健康保険料は29,100円
  • 介護保険料は5,100円

このような金額が毎月ひかれます。

うん、高いですね(笑)

そして微妙に協会けんぽの方が高くなっています。

※介護保険料は40歳からかかります。

厚生年金保険料の保険料率

厚生年金保険料については、保険料率が18.3%で一律となっているので、加入する健康保険によって保険料が異なることはありません。

標準報酬月額が30万円の場合、厚生年金保険料は月54,900円です。

これまた高いですね(笑)

半分は会社が負担してくれる

最後に、これらの金額のうち半分は会社が負担してくれますので、実際に給与から引かれる金額はこの半分となります。

もし例と同じく標準報酬月額が30万円の方がいれば、給与明細書と見比べてみてください(笑)

労働保険料

④雇用保険料については、広い意味では社会保険料というのですが、狭い意味では労働保険料といいます。

まあ給与から控除されることには違いありません(笑)

雇用保険料

雇用保険料の算出方法は、他の社会保険料と少し異なります。

といっても、雇用保険の方がシンプルです。

雇用保険料は、

毎月の賃金×雇用保険料率

で算出します。

前段階として標準報酬月額を算出するようなことはありません。

雇用保険料率は事業の種類によって異なりますが、一般的な事業の場合は1.55%です。
※令和5年度の場合

薬局やドラッグストアで働く薬剤師も1.55%です。

そして、この1.55%のうち0.95%は会社が負担してくれます。

ですので、薬剤師の方が負担するの雇用保険料は

毎月の賃金×0.6%

となります。

賃金にはどんな手当が含まれるのかという話もあるのですが、すこし難しくなってしまうので、今回は単純にその月の給与と考えてもらって大丈夫です。

残業代や通勤手当などの手当も含みます。

雇用保険料の例

雇用保険料の例ですが、給与が30万円の場合、

300,000円×0.6%=1,800円

となります。

シンプルですね(笑)

そして社会保険料と比べるとさすがに安いです。

まとめ

以上で、社会保険料の解説は終わりです。

いかがだったでしょうか。

自分の給与から引かれている社会保険料について、なんとなく理解できたでしょうか。

それと同時に、会社もかなりの社会保険料を負担しているということが分かるかと思います。

一般的に、従業員に払った給与の15%くらいを、会社は社会保険料として負担しています。

目に見えないところで、会社はかなりの金額の社会保険料を負担しているということです。

給与がなかなか上がらなくても、大目に見てあげてください(笑)

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