有休を使った日の給与を調べたことはあるでしょうか。
給与明細を見ても、有休を使った日の給与って意外と分からないものです。
実は有休を使った日の給与の計算方法は3種類あり、普通に働くより給与が増えることもあれば減ることもあります。
しかも、有休を使った日の給与の計算方法は、基本的には会社が選択可能なのです。
そんなわけで今回は、有休を使った日の給与の計算方法について紹介します。
有休を使った日の給与の計算方法
有休を使った日の給与は、下記3パターンから会社が選択可能です。
- 平均賃金
- 所定労働時間労働した場合に支払われる賃金
- 標準報酬日額に相当する金額
もちろんその都度選択するわけではなく、就業規則等に規定があるはずで、そのルールに則ります。
以下、それぞれのパターンについて解説します。
①平均賃金で計算する場合
平均賃金で計算するといっても、言葉のとおり単純に賃金の平均で計算するという意味ではありません。
実は労働基準法において、平均賃金の計算方法が定められています。
この平均賃金の額を用いる場面というのがいくつかあるのですが、その1つが有休を使った日の給与の計算です。
平均賃金の計算式は、
事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額÷その期間の総日数(暦日数)
です。
このとき、分母『その期間の総日数(暦日数)』となっているのがポイントです。
平均賃金の具体例
分かりやすい例で見てみます。
- 2月に有休を取得
- 11月12月1月の賃金総額は92万円
このとき、11月12月1月の総日数は92日のため、
92万円÷92日=1万円
となり、平均賃金は『1万円』となります。
あれ??
と思ったでしょうか。
そうなんです。
分母が『その期間の総日数(暦日数)』となっていますが、皆さんは1ヶ月毎日働くわけではないですよね。働くのはだいたい20日前後だと思います。
そうすると、1ヶ月の賃金が30万円だった場合、1日働くごとにだいたい1万5千円を稼いでる計算です。
それなのに、労働基準法の平均賃金は1万円となってしまうのです。
これはもう法律で決められた計算方法なので仕方ありません。
①平均賃金だと給与が減る可能性がある
もし会社が、有休を使った日の給与の計算方法として①平均賃金を選択していた場合、上記の例でいえば1万5千円と1万円の差額である5000円の給与が減ってしまう可能性があります。
たまに「有休を取ったら給与が減る」という人がいますが、多くの場合は会社がこのパターンを選択しているからです。
おかしいと思う方も多いでしょうが、こういったルールなので仕方ありません。
②所定労働時間労働した場合に支払われる賃金で計算する場合
次に、会社が『②所定労働時間労働した場合に支払われる賃金のパターン』を選択している場合です。
実はこのパターンを選択している会社が一番多く、計算はいたってシンプルです。
というか計算はいらず、有休を使わず通常通り働いたと思って給与計算するだけです。
計算がシンプルだからこそ、選択する会社も多いのでしょう。
月給の方であれば給与は変わりません。
①平均賃金で計算する場合のところで挙げた例でいえば、有休を使った日の給与は1万5千円です。
曜日によって働く時間が異なる場合
このパターンで少しややこしいのが、時給で働くパート勤務の方で、曜日によって働く時間が異なる場合です。
例えば、
- 水曜日は8時間勤務
- 土曜日は4時間勤務
- 時給2000円
という方。
この場合、水曜日に有休を使えば16000円ですが、土曜日に使った場合は8000円が給与となります。
じゃあ「勤務時間が長い日に有休を使った方が得じゃん!」となるのですが・・・
そう!その通りなんです(笑)
これまたルールなので、遠慮せず勤務時間の長い日に有休を使いましょう。
③標準報酬日額に相当する金額で計算する場合
最後に『③標準報酬日額に相当する金額』のパターンを選択する場合です。
標準報酬日額に相当する金額というのは
標準報酬月額÷30
となります。
しかし実際のところ、このパターンを選択している会社は稀です。
なぜなら、このパターンを選択するためには労使協定の締結が必要だからです。
更に、従業員によっては社会保険に加入していない可能性もあるため、あまり実用的ではないのです。
ですので紹介はこの程度にしておきますが、このパターンでも給与が下がることがあります。
まとめ
以上、今回は、有休を使った日の給与の計算方法について紹介しました。
このように、会社が選択するパターンによっては、有休取得日の給与が普通に働いた場合よりも下がってしまうことがあります。
近年は有休取得の推進もあり、有休取得日の給与が与える影響も大きいです。
会社がどの方法を選択しているのか、再度確認しておくと良いかもしれないですね。