年金

厚生年金保険のもう一つの側面、障害厚生年金と遺族厚生年金

前回の記事では、厚生年金が得なのか損なのかを理解するため、主に老齢厚生年金について紹介しました。

厚生年金って得なの?損なの?保険料や貰える金額を正しく理解しよう厚生年金保険料って高くないですか!? 給与明細見たらビックリしますよね。思ってる以上に保険料がかかってます。 そんな厚生年金...

今回はその続きで、厚生年金保険の中でも障害厚生年金と遺族厚生年金について紹介します。

障害厚生年金と遺族厚生年金については、年金のイメージの強い老齢厚生年金とは異なり、保険のイメージが強いです。

この2つを知ることで、厚生年金保険のイメージがガラッと変わると思います。

障害厚生年金と遺族厚生年金

「年金なんてどうせ貰えない」

とか

「損するだけだから保険料払いたくない」

とか言う人がよく忘れているのが障害厚生年金遺族厚生年金の存在です。

単純に知らないだけかもしれません。

障害厚生年金は、一定の要件を満たしたうえで障害の状態となったときに支給されます。

遺族厚生年金も、一定の要件を見たしたうえで保険料を納めている人が亡くなったときに、遺族に支給されます。

支給要件

支給要件については色々と細かいこともあるのですが、一番大事なこととして

会社員として保険料を納めている時に障害状態となったり亡くなったときには、要件を満たす

と考えて貰って大丈夫です。

20年間会社に勤めて保険料を納めていたのに、退職してすぐに障害状態となったり無くなってしまった・・・

そういったケースでは、障害厚生年金と遺族厚生年金の支給要件を満たしませんので注意が必要です。

年金の金額

障害厚生年金と遺族厚生年金の金額は、基本的には前回の記事で紹介した老齢厚生年金の金額から算出します。

【障害厚生年金の金額】

障害厚生年金の金額は障害の重症度にも寄りますが、

  • 障害等級1級:老齢厚生年金の1.25倍の金額
  • 障害等級2級:老齢厚生年金と同じ金額

となります。

【遺族厚生年金の金額】

遺族厚生年金の金額は、

  • 老齢厚生年金の金額×3/4

となります。

ただしこれらの金額はあくまでも目安で、老齢基礎年金のように障害基礎年金遺族基礎年金もありますし、家族構成によっては加算が付く場合もあります。

25年加入していたとみなされる

前述のとおり、障害厚生年金や遺族厚生年金の金額は、基本的には老齢厚生年金の金額から算出します。

ただし、障害厚生年金と遺族厚生年金には、老齢厚生年金と大きく異なる点があります。

それは、厚生年金保険の加入期間が25年に満たない場合は、25年加入していたとみなして年金額を計算するという点です。

例えば、会社員として働きはじめて1年後に亡くなってしまった場合。

単純に老齢厚生年金の金額から算出すると、ほとんど貰えないですよね。

しかし遺族厚生年金では、25年働いたとみなして金額を算出することができます。

月30万円の給与で1年間働いただけでも、

300,000×5.481÷1000×300(25年)×3/4=約37万円

となり、年間約37万円を遺族厚生年金として貰うことができます。

障害厚生年金でも同様の考え方です。

この25年働いたとみなしてくれる部分が、障害厚生年金と遺族厚生年金の大きな特徴です。

厚生年金保険に加入する価値

もう一度、障害厚生年金と遺族厚生年金の支給要件を思いだしてほしいのですが、

『会社員として厚生年金保険料を納めてるタイミングで』

障害状態となったり亡くなったりしたときに、障害厚生年金や遺族厚生年金を貰うことができます。(厳密には、他にも貰えるケースはあります)

逆に考えると、会社を辞めたタイミングで障害状態となったり亡くなったりすると、障害厚生年金や遺族厚生年金は貰えません。

辞めるまではずっと保険料を納めていたのにです。

この事実を知ると、厚生年金保険に加入できる会社で働くことにどれだけの価値があるか、ご理解いただけるのではないでしょうか。

また、厚生年金保険に加入せず働いている方は、そのリスクを必ず知っておいてほしいと思います。

まとめ

以上、今回は障害厚生年金と遺族厚生年金の紹介でした。

障害厚生年金と遺族厚生年金について知ると、厚生年金保険のイメージがなんとなく変わりませんか?

厚生年金保険の加入に、『老後に年金を貰う』というだけでなく、『何かあった時のための保険』という側面があることも分かっていただけたと思います。

こういったことも考えると、

「年金なんてどうせ貰えない」

とか

「損するだけだから保険料払いたくない」

とかいう意見が短絡的というか、少し的外れだと分かりますよね。

そして、たとえば民間の生命保険に加入する場合にも、厚生年金保険への加入の有無は考慮する必要があったりします。

こうなってくると本当に、厚生年金保険が得なのか損なのか、分からなくなりますね(笑)