年金

厚生年金って得なの?損なの?保険料や貰える金額を正しく理解しよう

厚生年金保険料って高くないですか!?

給与明細見たらビックリしますよね。思ってる以上に保険料がかかってます。

そんな厚生年金保険、ぶっちゃけ、

得すると思いますか?

損すると思いますか?

正直、得するとも損するとも断言はしにくいです。

しかしインターネットを見てると、誤った根拠で

「絶対に損だからあーだこーだ!!」

と言ってる人がすごく多いです。

そこで今回は厚生年金保険について、保険料や貰える金額の考え方について紹介しようと思います。

正しく理解したうえで得なのか損なのか判断し、ネット上の誤った情報に騙されないようにしましょう。

厚生年金保険とは

厚生年金保険は健康保険と同じく、主に会社員が加入する社会保険です。

薬剤師なら知っておきたい保険の仕組み突然ですが、『保険』について説明することが出来ますか? 聞いたことは絶対にあるでしょうが、いざ説明するとなると、正確には説明できな...

年金という名前からイメージ出来ると思いますが、働きながら厚生年金保険料を納め、65歳から年金の支給を受けます。

65歳から支給を受ける年金を老齢厚生年金といいます。

特徴としては、保険料を多く納めた人ほど受けられる老齢厚生年金の額も多くなるということです。

健康保険は、保険料が多くても少なくても受けられる医療は変わらないですよね。

そこが健康保険と大きく異なる点です。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料については標準報酬月額から算出し、

標準報酬月額×18.3%

が厚生年金保険料となります。

標準報酬月額って何ですか?仕事をして貰う給与からは、色々なものが引かれます。 所得税や住民税、雇用保険料に社会保険料・・・ この中で、所得税や住民税、...

たとえば標準報酬月額が30万円の給与を貰ってる人の厚生年金保険料は、

30万円×18.3%=54,900円です。

ただし実際には会社が半分を負担してくれますので、毎月27,450円が厚生年金保険料として給与から引かれることになります。

老齢厚生年金の金額

厚生年金保険料についてはわりとシンプルなのですが、そのぶん将来もらえる金額というのが非常に複雑です。

ただし、だいたいの金額の目安であれば、意外と簡単に計算できます。

平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数

これが老齢厚生年金の金額の目安になります。

平均標準報酬額というのは、簡単に言ってしまえば、過去の標準報酬月額と賞与の平均です。

標準報酬月額が毎月30万円で、1年間の賞与の総額が360万だった場合、

(30万円×12か月+360万円)÷12=60万円

で、平均標準報酬額は60万円となります。

老齢厚生年金の金額の具体例

老齢厚生年金の金額についても具体例で考えてみます。

【1か月だけ働いた場合】

わかりやすく、30万円の給与を1か月だけ貰ったとします。

その場合、

300,000×5.481÷1000×1=1644.3円

となり、将来は年間で1644.3円の老齢厚生年金が貰えことになります。

【40年間働いた場合】

1か月の計算だと微々たる金額ですが、次は30万円の給与で40年間(480ヶ月)働いたとします。(賞与は貰っていないこととします)

その場合、

300,000×5.481÷1000×480=789,264円

となり、将来は年間で789,264円の老齢厚生年金が貰えることになります。

老齢基礎年金も貰える

「こんな金額じゃ生活できないし!!」

と思うかもしれませんが、実際には老齢厚生年金の他に老齢基礎年金も一緒に貰えます

厚生年金保険に加入している期間は自動で国民年金にも加入しているからです(詳しい説明は省略します笑)

老齢基礎年金は、40年働いた場合は年間で約78万円貰えます。

また、老齢基礎年金は給与の額に関係なく貰える金額は一定です。

この老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が、将来貰える年金額となります。

将来もらえる年金の金額が複雑な理由

ここまで読んで、

「あれ?将来もらえる年金の金額もシンプルじゃない?」

と思うかもしれません。

しかし、先ほどの金額はあくまで目安です。

実際に老齢厚生年金として貰える金額は、この金額から、

  • その時の物価
  • その時の現役世代の賃金

などを踏まえて増減があるので、正確な金額ではないのです。

当然ですよね。もし現在であれば十分な額の年金額でも、年金を貰うときには物価が今の10倍になっていたら?

とてもじゃないけど生活できません。

また、将来働いている人たちの賃金が今の10倍になったら?

その時も、現在の年金額では相対的に足りなくなりますし、おそらく物価も上がってしまうでしょう。

「あんなに一生懸命働いて保険料を納めたのに・・・」

そんなことにならないよう、物価や現役世代の賃金にあわせて年金額は増減するのです。

他にもマクロ経済スライドという仕組みが働いて更に複雑になるのですが、これについてはいつか機会があれば紹介いたします。長くなるので(笑)

結局、厚生年金保険は得なの?損なの?

さて、ここまでで、厚生年金保険の保険料と年金額の仕組みは理解できましたね。

給与が月30万円の場合、保険料が毎月27,450円かかり、40年働いたら年金が年789,264円+約78万円もらえる。(賞与を考慮しない場合)

そうすると、何歳まで生きて年金を貰えば、納めた保険料の元を取れるのかが計算できます。あくまでも目安ですが。

そのうえで、厚生年金保険が得なのか損なのか、ご自身で判断してもらえればと思います。

また、厚生年金保険が得か損かを考えるうえで知っておきたいこととして

  • 障害厚生年金
  • 遺族厚生年金

といったものがあります。

これらについても、厚生年金保険という仕組みを理解するうえでぜひ知っておいていただきたいので、次の記事で紹介しようと思います。

厚生年金保険のもう一つの側面、障害厚生年金と遺族厚生年金前回の記事では、厚生年金が得なのか損なのかを理解するため、主に老齢厚生年金について紹介しました。 https://adoyakun...

まとめ

以上、今回は厚生年金保険について、保険料や貰える金額の考え方について紹介しました。

「年金は難しい」

そう思ってる人はすごく多いです。

そして難しいという理由で理解することを諦め、ネットの怪しい情報を鵜呑みにして踊らされます。

確かに、細かな要件などすごく多いです。

しかし今回の記事のように、貰える年金額もある程度の目安であれば簡単に計算できます。

保険料もすごくシンプルですよね。

ある程度でも良いので全体像を理解したうえで、ネットの情報を鵜呑みにすることなく、厚生年金保険が得なのか損なのか考えてもらえればと思います。