コラム

インフルエンザと新型コロナ。仕事や学校は何日休む?

インフルエンザが大流行中ですね。とどまるところを知らない感じです。

新型コロナも一時的に落ち着いていましたが、また最近増えてきた印象です。

ところで、インフルエンザや新型コロナに罹った場合、仕事や学校は何日休めば良いのでしょうか?

特に新型コロナは5類感染症に移行したこともあり、分からなくなってる方も多いのではないでしょうか。

薬剤師の方は患者から聞かれることもあると思うので、今回はその根拠も含めて紹介いたします。

※本記事は2023年12月末の法令等をもとに作成しています。

インフルエンザは仕事や学校を何日休む?

まず初めにインフルエンザについて整理しておくと、インフルエンザにも種類があります。

一般的に言われるインフルエンザとは季節性インフルエンザになり、感染症の分類では5類感染症になります。

いま流行っているのも、この季節性インフルエンザです。

一方でインフルエンザには鳥インフルエンザというものもあり、こちらは2類や4類になり、より注意が必要です。

今回は、5類感染症である季節性インフルエンザという前提で進めていきます。

インフルエンザは仕事を休まなくても良い

ここが一番勘違いのあるところですが、インフルエンザに罹ったからといって仕事を休む義務はありません。

5類感染症には、感染症法に基づく出勤停止等の措置がないからです。

ただし会社がルールを決めている場合もありますので、その場合はルールに従う必要があります。

他の人にうつしてしまう可能性がありますからね。

学校は発症後5日かつ解熱後2日経過まで休む

インフルエンザに罹った場合、感染症法に基づく出勤停止等はありませんでした。

では学校はどうなのかというと、学校は発症後5日かつ解熱後2日経過まで休む必要があります。(発症日、解熱日を0日目としてカウント

これは学校保健安全法19条(学校保健安全法施行規則19条)に基づく措置になります。

イ インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあつては3日)を経過するまで。

ちなみにこの法律は『学校』を対象とする法律ですが、では『学校』とはどういった学校を指すのでしょうか。

学校保健安全法における『学校』は学校教育法に規定する学校とされており、学校教育法1条においては以下のように規定されています。

第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

これを見るとほぼ全ての学校が対象となることが分かると思いますが、

「じゃあ保育園は?」

と思う方もいるかもしれません。

保育園の場合、学校保健安全法ではなく「保育所における感染症対策ガイドライン」により登園禁止期間を定めています。

そして「保育所における感染症対策ガイドライン」は基本的に学校保健安全法と同じ内容を定めているため、発症後5日かつ解熱後3日経過まで休むことになります。(幼児のため)

新型コロナは仕事や学校を何日休む?

次に新型コロナについて紹介しますが、新型コロナも5類感染症ということで季節性インフルエンザと同じ分類であり、考え方はほとんど変わりません。

新型コロナは仕事を休まなくても良い

新型コロナもインフルエンザと同じく、罹ったからといって感染症法に基づく出勤停止等の措置はありません。

会社のルール次第です。

ただし厚生労働省としては発症後5日かつ症状軽快後24時間経過までは外出を控ることを推奨しており、同様のルールとしている会社が多いです。

学校は発症後5日かつ症状軽快後1日経過まで休む

インフルエンザと同じく、新型コロナも学校保健安全法19条(学校保健安全法施行規則19条)に基づき登校禁止の措置があり、発症後5日かつ症状軽快後1日経過まで休むことになります。

チ 新型コロナウイルス感染症にあつては、発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで。

インフルエンザと違う点としては、解熱後2日ではなく症状軽快後1日となっています。

また幼児だからといって休む期間が長くなることはありません。

インフルエンザや新型コロナで出勤を強要された場合は?

上記のとおり、インフルエンザや新型コロナは感染症法に基づく出勤停止等の措置がありません。

そのため、罹ったときでも逆に出勤を強要されるケースがあるようです。

その場合、出勤を断ることはできるのでしょうか?

結論から言えば、絶対に断ってください(笑)

自身の病状を悪化させてしまう可能性がありますし、他の社員にうつしてしまう可能性もあります。

また、労働契約法5条により会社には労働者の安全に配慮する義務があります。

(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

もし出勤の強要を断ったことで何か処分を受けた場合、この労働契約法5条違反をもとに対抗することも可能です。

まとめ

以上、今回は、インフルエンザや新型コロナに罹った場合に仕事や学校を何日休めば良いのか紹介しました。

結論をまとめると、

  • 会社:インフルエンザも新型コロナも会社次第。法的な根拠はなし。
  • 学校(インフルエンザ):発症後5日かつ解熱後2日経過まで休む
  • 学校(新型コロナ):発症後5日かつ症状軽快後1日経過まで休む

となります。

新型コロナも5類に落ち着いたということで、今後しばらくは変わらないと思うので、しっかり覚えておきましょう。