近年、SNSやインターネットを利用した求人広告が増加していますが、職業安定法で求人広告の適正な表示が義務付けられています。
特に、「闇バイト」などの違法求人が横行する中で、求職者が犯罪に巻き込まれるリスクが指摘されています。
自社や知り合いの会社の求人を善意で発信する方も散見されますし、求人のルールを知っておきましょう。
本記事では、労働者を募集する際の適正な広告表示のルールについて解説します。
求人広告に必要な6つの情報
労働者を募集する際には、以下の6つの情報を必ず記載しなければなりません。
①氏名(名称)
企業名または個人事業主の氏名を正確に記載する。ビル名、階数、部屋番号まで記載が求められる場合もある。
②住所
事業所の所在地を記載。PO Box(私書箱)のみでは不可。
③連絡先
電話番号、メールアドレス、公式Webサイトの問い合わせフォーム など。SNSのDMやメッセージ機能のみでは不可。
④業務内容
労働者が応募時に誤解しないよう、具体的に記載。
⑤就業場所
勤務地を明記(「応相談」表記は可だが、詳細は記載する必要がある)
⑥賃金
時給や日給、月給など明確な金額を記載。「時給〇〇円~」などの表記は許容される場合もある。
➡ これらの情報が記載されていない求人広告は、法令違反となる可能性があります。
求人広告で気をつけるべきポイント
SNSやWeb広告での求人表示ルール
職業安定法では、SNSやWeb広告を使った求人広告も対象となります。つまり、SNS上で求人情報を発信する際にも、「6つの情報」 を記載する必要があります。
会社の公式Webサイトにリンクを貼るだけでは不十分です。
広告の本文内に6情報を明記することが必須になります。
DM(ダイレクトメッセージ)で詳細を案内するだけでは認められません。
闇バイトと違法求人に注意
薬局や病院であればあまり得体の知れない求人は多くはないとは思いますが、最近の状況も鑑みて、特に違法性の高い求人についても触れておきます。
最近では、「高額報酬」「簡単な仕事」「誰でもできる」といった文言を使い、犯罪組織が労働者を募集するケースが増えているようです。
求職者が応募しやすいように、違法な求人広告を「普通の仕事」のように装う手口が横行しています。
- 「日給10万円」「即金払い」など、極端に高額な報酬を提示
- 仕事内容が曖昧で、「簡単な軽作業」などと記載
- 会社名・住所・連絡先の記載がない
- 連絡手段がLINEやSNSのDMのみ
- 「履歴書不要」「誰でもできる」など、採用プロセスが不自然
➡ このような求人には応募しないことも重要です。
実際に、ニュースにもなっているように「闇バイト」に応募して犯罪に加担し、逮捕されるケースも発生しています。
求職者が注意すべきポイント
求人広告に6情報が記載されているか確認しましょう
以下の情報が掲載されていない場合、その求人には要注意です。
- 会社名(または個人名)が明記されているか
- 住所が具体的に記載されているか
- 連絡先(電話番号・メール・公式サイト)があるか
- 仕事内容が具体的に記載されているか
- 勤務地が明確になっているか
- 賃金(時給・月給)が明記されているか
SNSの求人に特に注意しましょう
SNSでは、匿名で求人を掲載することが可能なため、違法な求人が紛れ込んでいるケースが多々あります。
求職者は、「6情報」がない求人には応募しないことが重要です。
怪しい求人の特徴
- 会社名が書かれていない
- 連絡手段がLINEやDMのみ
- 報酬が極端に高額
- 仕事内容が「簡単な作業」「未経験OK」など曖昧
- 「即日払い」「審査なし」などの強調ワードが使われている
求人広告が職業安定法に違反している場合の対処
もし、求人広告が「6情報」を記載していない場合 や、明らかに違法な求人である場合は、以下のような対応を行うことができます。
- 厚生労働省の窓口に通報
- ハローワークに相談
- 警察に通報(違法性が高い場合)
職業安定法違反の罰則
職業安定法では、労働者募集の適正な表示を義務付けており、違反した場合には厳しい罰則が科されます。
虚偽広告・誤解を生じさせる表示
- 実際には支払われない高額報酬を掲載
- 「正社員採用」と記載しながら実際は業務委託契約
- 実際とは異なる勤務時間や休日を記載
➡ 違反した場合、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
違法な職業紹介・労働者供給
- 労働者の募集において、暴行・脅迫・監禁などを伴うケース
- 詐欺や強盗などの犯罪に加担する目的で求人を行った場合
➡ 違反した場合、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
まとめ
インターネットやSNSでの求人募集は便利ですが、職業安定法によって適正な表示が義務付けられています。
求人広告に6つの情報が必要です。
- 会社名(または個人名)が明記されているか
- 住所が具体的に記載されているか
- 連絡先(電話番号・メール・公式サイト)があるか
- 仕事内容が具体的に記載されているか
- 勤務地が明確になっているか
- 賃金(時給・月給)が明記されているか
応募する場合も、自社や知り合いの会社の求人募集をSNSでする場合は、記載内容には気をつけましょう。
SNSの求人には注意
- 匿名アカウントの求人には応募しない
- 連絡手段がLINEやDMのみの求人は避ける
- 高額報酬を強調する広告は疑う
- 違法求人を見つけたら通報する
簡単に繋がれる求人・就職活動方法だからこそ、ルールを守って上手く活用していきましょう。