このブログでも何度も書いていますが、基本的に残業代は
労働時間が1日8時間、1週40時間を超えた場合
に発生します。
しかしこれは大原則であり、もちろん例外も存在します。
その1つが変形労働時間制です。
薬局やドラッグストアでもよく導入されているこの制度ですが、残念ながら正しく理解している人が少ないです。
なんなら自分の会社に導入されていることすら知らない人もいます。
そんなわけで今回は、変形労働時間制について紹介します。
変形労働時間制を知ることは、間違いなく適正なシフトの作成や店舗運営に役立ちますので、少し難しいですがぜひ読んでみてください。
変形労働時間制の種類
変形労働時間制には種類があります。
- 1週間単位の変形労働時間制
- 1ヶ月単位の変形労働時間制
- 1年単位の変形労働時間制
- フレックスタイム制
この中で一番聞いたことあるのはフレックスタイム制でしょうか。
それぞれに特徴はあるのですが、今回は薬局やドラッグストアで導入している会社の多い、1ヶ月単位の変形労働時間制について紹介します。
1ヶ月単位の変形労働時間制とは
1ヶ月単位の変形労働時間制とは、
『1ヶ月における1週間あたりの平均所定労働時間が、1週間の法定労働時間(ここでは40時間)を超えない定めをした場合は、特定の週や日に、法定労働時間(ここでは1日8時間や1週40時間)を超えて労働させることができる制度』
です。
うん、日本語って難しい(笑)何言ってるか全然わからない(笑)
これをすっごく簡単に言うと、
『1ヶ月の労働時間を平均した時に1週40時間を超えなければ、その1ヶ月間は1日8時間や1週40時間を超えるようなシフトを組んでも割増賃金は発生しない制度』
となります。
薬局やドラッグストアは店舗によって営業時間が異なりますよね。
さらに、1日8時間や9時間以上開けている店舗も多いです。土日に店を開けることも普通です。
そうなると、1日8時間1週40時間を上限にしてシフトを組むことが非常に難しくなります。
かといって、1日8時間1週40時間を超える度に割増賃金を支払っていては、薬局やドラッグストアは運営していけません。
そこで1ヶ月単位の変形労働時間制の出番です。
1ヶ月の所定労働時間の上限
『1ヶ月における1週間あたりの平均所定労働時間が、1週間の法定労働時間(ここでは40時間)を超えない定め』
ここがなかなか理解しにくいですよね。
1ヶ月の労働時間を平均した時に1週40時間を超えない時間というのを結論だけ書くと、
31日の月:177.1時間
30日の月:171.4時間
29日の月:165.7時間
28日の月:160.0時間
上記の時間になります。
28日の月が一番分かりやすいですかね。
この時間を下回るように1ヶ月のシフトを組みます。
そうすれば、1日8時間や1週40時間を超えても、割増賃金を支払う必要は無くなります。
この上限時間の算出方法については、もし興味あればインターネットで調べてみてください(笑)
これが1ヶ月単位の変形労働時間制です。
1ヶ月単位の変形労働時間制の導入方法
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するためには、労使協定または就業規則で一定事項を定める必要があります。
会社の都合で突然始めることは出来ないということです。
また、1ヶ月ごとにシフト表を作成する必要があります。
これは、
「今日は混んでるから残ってね。その分明日は早く帰って良いよ」
のようなことが出来ないということです。
1日8時間や1週40時間を超すことはできますが、それはあくまで、1ヶ月の始まりまでにシフト表を作成し、1日8時間1週40時間を超す日を決めておくということです。
その日の混み具合でシフトを変更できる制度ではないということに注意してください。
1ヶ月単位の変形労働時間制の割増賃金
1ヶ月単位の変形労働時間制における一番の問題点は、割増賃金の計算方法です。
とりあえず文章で説明してみますね。
以下の①②③に対して、割増賃金を支払う必要があります。
- 1日については、8時間を超える時間を定めた日はその時間、
それ以外の日は8時間を超えて労働した時間 - 1週間については、40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は
40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く) - 対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間
(①または②で時間外労働となる時間を除く)
これ読んで分かります?
分からないですよね?
私も最初は全然分かりませんでした(笑)
図解を見ながらこの文章を呼んで、ようやく理解できるレベルです。
もし興味があれば、ぜひインターネットで調べて図解を見てみてください。
そうすれば理解できると思います(笑)
まとめ
以上、今回は、薬局やドラッグストアに多い一ヶ月単位の変形労働時間制について解説しました。
変形労働時間制に多いトラブルとして、
- 会社が変形労働時間制を導入しているのに、従業員が変形労働時間制を理解していないため、本来は起らないはずのトラブルが起きてしまう。
- 会社が従業員に変形労働時間制の説明をキチンとせず、悪用して従業員を損させてしまう。
こういったトラブルがあります。
まずは会社と従業員の両方が、変形労働時間制についてしっかり理解すること。
そして、会社は導入方法のルールを守っているか。割増賃金の計算方法を正確に行っているか。
そういった点を確認していきましょう。
もし気になる点などあれば、気軽にお問い合わせください。