昨年行われた大きな法改正に、社保適用の拡大がありました。
短時間勤務の人にとって、社保に加入が必要になるかどうかは大きな問題です。
嬉しい人もいれば、嬉しくない人もいます。
ところで、現在の社保のルールは知っていますか?
どんな人が社保に加入が必要なるのか。
すごく大事な話がですが、意外と正確に把握してる人は少ないです。
今回はそのあたりのことを簡単に紹介します。
社保の会社に関するルール
そもそも従業員が社保に加入するためには、会社が社保適用になっている必要があります。(例外あり)
社保の適用が義務付けられている会社は、
- 事業主を含む従業員1人以上の法人
- 常時使用する従業員が5人以上いる、一部の業種の個人事業所
この2つです。
会社が法人となっている場合、従業員の人数にかかわらず社保の適用が必要となります。
一方で個人事業主の場合、従業員が5人未満のうちは必要ありません。
5人以上となった時でも、必要になるのは一部の業種です。
そして薬局は、この一部の業種に含まれます。
以上まとめると、
- 法人の薬局
- 従業員5人以上の薬局
これらは社保の適用が必要となります。
なお、従業員が5人以上いても加入義務とならない業種としては、
- 理美容室
- 飲食店
などがあります。
社保の従業員に関するルール
次に従業員側のルールになります。
会社が社保適用だと、いわゆる正社員は社保に加入することとなります。
一方で、正社員でないパートの人には、社保加入に条件が付きます。
まず条件①として、
- 週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上であること
となります。
正社員が週休2日、週40時間勤務の場合、おおよそ週30時間、月15日勤務が条件となります。
次に、条件①を満たさないパートの人でも、条件②として
- 従業員101人以上の企業に勤務している
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 雇用期間が2カ月を超えて見込まれる
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生でない
この全てを満たす場合に社保加入となります。
条件②に『従業員101人以上の企業』という企業規模要件があるため、同じパート勤務でも、大企業に勤める方が社保加入の可能性が高くなります。
社保の適用が拡大
こんな社保のルールですが、2022年10月に改正がありました。
条件②の内容ですが、
- 従業員501人以上→101人以上
- 雇用期間1年以上→2ヶを超えて
このような変更があったのです。
その結果、より中小規模の会社でも、パートの人が社保加入となります。
更に2024年10月には、
- 従業員101人以上→51人以上
と改正されます。
51人以上となると、複数店舗の薬局を運営する会社だと企業規模要件を満たすこととなります。
パート薬剤師として働く人は、今後こういった改正があることを想定して、働く会社を決めていく必要があります。
社保の加入・非加入は選べない
たまにある勘違いなのですが、社保の加入・非加入は原則として選べません。
加入の要件を満たす人は社保に加入する必要がありますし、満たさない人は加入することができません。
これは会社としても同じことで、要件を満たさない従業員を社保に加入させてあげることも出来ないのです。
ここに裁量の余地を残してしまうと、社保の給付を必要とする人ばかり加入することとなり、その一方で給付が不要な人は加入せず、結果として保険者が運営していけなくなってしまうからです。
社会保険という仕組みになっている以上、仕方ないことなのです。
まとめ
以上今回は、社保適用についての紹介でした。
社保に加入するかしないかは、現在の生活にも直結し、将来の生活にも影響する大きなポイントです。
ケガや病気があった時に保証が手厚いのも、社保の大きな特徴です。
そんな社保の適用条件が、大きく改正されました。
今後さらなる改正もあることを知ったうえで、パート薬剤師の人には、自分にあった職場を見つけてもらえればと思います。