フリーランス薬剤師

フリーランス薬剤師のリスクとデメリット

フリーランス薬剤師で働くメリットが書かれている記事は多く目にしますが、そのリスクやデメリットまで触れられている記事はあまり多くありません。

触れられていても、せいぜい表面だけというか、「まあそうだよね。」くらいのことしか書かれていません。

しかしフリーランス薬剤師として働くのであれば、そのリスクやデメリットについてしっかり理解してから働くべきだと私は考えています。

当然ですがSNS等では良いところばかり取り上げられますので、今回はリスクとデメリットに焦点をあてて、できるかぎり深堀りしてみようと思います。

深堀りしすぎて意味わからなくなったらごめんなさい(笑)

※今回は、フリーランス薬剤師専業で働く場合を想定しています。副業として働く場合には色んな可能性が出てくるので・・・

労働基準法が適用されない

フリーランス薬剤師については労働者性の論点もありますが、基本的には労働基準法が適用されません。

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労働基準法が適用されないということを、人によってはメリットと捉えるかもしれません。

しかし労働基準法が適用されないと、休日はおろか休憩がない働き方でも問題ないということになります。(もちろん契約内容によります)

休日はまだ良いんですけど、休憩がないというのは結構辛いです(笑)

加えて知っておきたいのが、有休も無いということです。

インフルエンザや新型コロナに感染して数日休んでしまったときに有休がないと、思ってる以上に収入が減ります(笑)

有休って、低めに見積もっても1日あたり2~3万円の価値がありますからね。10日の付与であれば20万~30万円の価値があるということです。

有休がないのであれば、そのぶん年間20万~30万円くらいは多く稼がないと、フリーランスであることで損しているということになります。

労災が適用されない

これが個人的には一番大きなリスクだと考えているのですが、労働者でないということは労災が適用されません。(労働者性の議論は置いておきます)

業務中にケガをしたり、通勤中に事故にあったりしても補償を受けられないということです。

薬剤師は決してケガの多い仕事ではありませんが、それでもゼロではありません。

針刺し事故もありますし、通勤中の事故は完全に運です。

もし通勤中の事故で大ケガをしてしばらく働けないとなったとき、何も収入が無くなってしまうのはかなりのリスクです。

もしフリーランス薬剤師として働くのであれば、労災が適用されないぶん、民間の生命保険や傷害保険に厚めに加入しておいた方が良いかもしれません。

労災の特別加入が可能に

ちなみに現在、国ではフリーランスなら誰でも労災に特別加入できる仕組みを作ろうとしています。

薬局経営者やフリーランス薬剤師も?労災保険の特別加入とはフリーランス薬剤師について話すとき、私はリスクとして必ず労災の対象とならないことを挙げます。 対象とならないのはフリーランス薬剤師...

現状フリーランス薬剤師は特別加入できませんが、今後は可能になる予定です。

フリーランス薬剤師で働いていこうと思っている方は、労災の特別加入について継続的に情報をチェックしていくことをオススメします。

雇用保険に加入できない

雇用保険に加入できないと聞くと、離職したときに基本手当(失業手当)等が貰えないことをイメージする人が多いと思います。

しかし他にも、

  • 育児休業給付金を受給できない
  • 教育訓練給付制度を利用できない

などのデメリットもあります。

スキルアップしようと思ったときに、教育訓練給付制度は非常に有用です。

薬剤師も教育訓練給付制度を使って資格を取ろう!最近では、働きながら資格の取得を目指す人が増えています。 そんな方のために、雇用保険には教育訓練給付制度というものがあります。 ...

加えて、育児休業給付金を受給できないというのは、育児をするうえで金銭的にかなり大きなデメリットです。

もし今後、出産育児をする可能性が少しでもあるのであれば、雇用保険には加入できる働き方をした方が良いでしょう。

ちなみに育児休業給付金を受給するためには、育休開始前の2年の間に12か月、雇用保険に加入している必要があります。

社保に加入できない

これは社会保険料の面からメリットと捉えている人もいると思いますが、社保に加入できないので自身で国保に加入する必要があります。(マイクロ法人などの例外パターンは除きます)

社保と国保の違いは色々ありますが、その1つに国保だと出産手当金が貰えないという点があります。

保険料や給付内容など、社保と国保の違い以前の記事で、社保のルールについて紹介しました。 https://adoyakunikki.com/pharmacist/arch...

出産手当金は、出産の前後で約14週間、給与の約3分の2が支給されますので、これが貰えるのと貰えないのとでは結構違います。

前述の雇用保険の内容とも重複する話ですが、出産育児をする可能性が少しでもあるなら社保に加入できる働き方がオススメです。

傷病手当金も貰えない

また国保だと、出産手当金だけでなく傷病手当金も貰えません

インフルエンザや新型コロナに感染して数日休んでしまったとき、有休がないと収入がかなり減ると書きました。

しかしもし社保に加入しているのであれば、有休がなくても傷病手当金が貰える可能性があるのです。

そうすることで、休みによる収入減を抑えることができます。

しかしフリーランス薬剤師は基本的に国保に加入しているので、傷病手当金は貰えません。

これも大きなデメリットでしょう。

社会的信用がない

フリーランスなどの自営業には社会的信用がないという話は聞いたことがあると思います。

  • ローンを組めない
  • クレジットカードを作れない
  • お金を借りられない
  • 部屋を借りられない

どれも概ね間違っていないですが・・・私の場合、クレジットカードは普通に作れました(笑)

ゴールドカードも問題なく作れました。

ただ部屋は借りれなかったですね。審査が通らなかったです。

確定申告書の控えを提出しろと言われても、開業したばかりで確定申告なんてしてないですからね(笑)

貯金通帳のコピーと嫁の収入でどうにか審査が通りました。

所得で社会的信用が決まる

色んなことにかかったお金を経費にしたくてフリーランス薬剤師、という人もいると思います。

しかし覚えておかないといけないのが、所得の金額で社会的信用が決まるということです。

そして経費が増えるほど所得は低くなります。

つまり、経費が多くなるほど社会的信用が低くなるということになります。

経費にしたくてフリーランス薬剤師を始めようという人は、こういった事情は知っておいた方が良いと思います。

成長やキャリアアップが望めない

これはフリーランス薬剤師に限らずフリーランスという働き方に共通することですが、フリーランスは自分ができることをお金に換える仕事です。

逆に考えれば、自分ができないことにチャレンジする機会が少ないとも言えます。

会社側として考えれば分かることですが、成長の機会を与えるのであれば、数か月でいなくなる可能性があるフリーランス薬剤師より、長く働いてくれる可能性の高い正社員だからです。

色んな薬局で働くことで色んな処方に触れることができるのは、短期的に考えれば成長できるような気がすると思います。

しかし長期的に考えたときに、どうなのか・・・

キャリアアップの機会もなかなかありません。

本当にそれで良いのか、しっかり考えておいた方が良いと思います。

昇給がない

目先の収入で考えたとき、正社員で働くよりもフリーランス薬剤師として働く方が収入は多くなると思います。(経費も使えますし)

しかしフリーランス薬剤師には昇給がありません。

そう考えたとき、長い目で見れば正社員で働いてた方が生涯収入は多くなる可能性は高いのではないでしょうか。

もちろん自身のスキルを磨いて単価を上げるという方法もありますが、依頼する会社側としては、穴を埋めてくれるのであれば誰でも良い・・・と考える会社も多いと思います。

そうなると、自身の努力で単価を上げるのは難しくなってきます。

なんなら、薬剤師が増えるほど単価も下がるし、仕事が見つからない可能性もでてくるのではないでしょうか。

まとめ

以上、今回はフリーランス薬剤師として働くリスクとデメリットについて紹介しました。

これだけ読むとすごくフリーランス薬剤師に否定的な人間に思うかもしれませんが、私は基本的にはフリーランスという働き方に賛成です。

リスクとデメリットに絞って記事を書いてるだけですので(笑)

SNS等で調べてもフリーランス薬剤師の良いところばかり出てきますが、当然ながら表には出てこない悪いところもあります。

そういったところも知ったうえで客観的に考えていただき、どのような働き方をしていくのかを決めていただければと思います。

もし気になる点などあれば、いつでも連絡くださいな!

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