2025年4月から新たに「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」という制度ができました。
前回は「出生後休業支援給付金」について解説してきました。
夫婦で協力して育児休業を取得しやすくすることを目的とした制度でしたね。
今回は、「育児時短就業給付金」について、従来の時短勤務制度との違いも交えて解説していきます。
「育児時短就業給付金」は、特に育児休業から復帰を考えている方が活用しやすい制度です。
これまでの育児時短勤務制度
これまでの育児時短勤務制度はどのようなものだったか見ていきましょう。
育児・介護休業法に基づく制度
3歳未満の子どもを養育している労働者が対象。
1日の労働時間を6時間に短縮できます。
無給のケースが多く、給与が減少するリスクがありました。
企業独自の支援策
企業が独自に導入している時短勤務制度があります。
あくまで企業が独自に作っている制度で、企業によって子供の小学校3年生の年度が終わるまで、あるいは子供が小学校を卒業するまで時短勤務ができる制度を設けているケース等もあります。
福利厚生の一環として導入されていることが多く、収入減少の補填がないケースが多いです。
【新制度】「育児時短就業給付金」とは?
それでは、これまでの制度と比べて「育児時短就業給付金」にはどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
育児時短就業給付金とは、2歳未満の子どもを育てるために、時短勤務(育児時短就業)を選択した場合に支給される給付金です。
原則として育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額を支給します。
給付金を受けられる条件
次の2つの条件を両方満たしていることが必要です。
① 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者であること。
② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて、育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に、被保険者期間が12か月あること。
これに加えて、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給します。
③ 初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者である月。
④ 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月。
⑤ 初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月。
⑥ 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月。
育児休業から復帰後にそのまま時短勤務を開始するケースが対象だと思ってください。
給付金を受けられないケース
また、以下に該当する場合は支給されません。
① 支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業前の賃金水準と比べて低下していないとき
② 支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額以上であるとき
③ 支給額が最低限度額以下であるとき
育児時短就業給付金のメリット
①給与減少を補填できる
これまでの時短勤務制度では、働く時間が短くなることで給与が減少するリスクがありました。しかし、育児時短就業給付金は賃金の10%が支給されるため、金銭的負担を軽減できます。
②時短の形態に柔軟性がある
従来の育児時短制度は「1日6時間」という固定的な形態が多かったですが、新制度では「時短勤務」として働き方に柔軟性があります。
③育児休業からスムーズに復帰できる
従来は育児休業後の時短勤務が無給となるため、金銭的に不安を抱く方も多くいましたが、新制度ならば復帰を支援する形で給付金が支給されます。
デメリットと注意点
①支給条件が厳しい場合がある
時短勤務を開始した時点で、給与が下がっていない場合には支給対象外です。
給与と支給額の合計が459,000円を超えると、その超過分が減額されます。
②2歳までしか支給されない
従来の制度は3歳未満まで適用可能でしたが、給付金は2歳未満の子どもに限定されています。
まとめ
育児時短就業給付金は、これまでの育児時短制度のデメリットをカバーする形で導入されました。
特に給与減少を補填できる点が大きなメリットです。育児と仕事の両立を目指す従業員にとって、ありがたい制度です。
新たにできた「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」の2つの制度で、また子育てがしやすくなったのではないでしょうか。
これから子育てをしていく方は、上手く活用していきましょう。