これまで、私自身の社労士開業準備の話を主なコンテンツとしていたこのブログ。
新しく、先輩社労士に開業体験談をインタビューする企画をスタートしております。
私1人でなく様々な先輩社労士の開業体験談を聞くことで、これまで以上に開業を考えてる方の力になれればと思っています。
今回は第4弾として、神奈川県で開業されているA.T.先生に話を聞かせていただきました!
- 合格:第52回(2020年)社会保険労務士試験
- 開業:2021年7月1日
目次
社労士受験・開業の経緯
ーーさっそくですが、簡単に自己紹介をお願いします。
2021年に神奈川県で社労士事務所を開業しました。前職が運送会社の人事課にいたので、運送会社の2024年問題に注力しつつ、将来的には会社の組織形成を支援していきたいと思っています。日々の営業や、ブランディングの事を考えるのが大好きです。よろしくお願いします!
ーーよろしくお願いします。まずは社労士試験を受験した経緯を教えてください。
それなりの評価もいただきながら、やりがいも感じてパートの仕事をしていたのですが、ある日人員整理の対象となる可能性があることを知りまして。そこで自身のキャリアについて真剣に考えなければいけないと思ったんですよね。
そこから自分に合う資格など探したところ、働くことの知識を学んでそれを人のために活かせる資格である社労士に出会い、受験決めました。
ーー合格後はすぐに開業登録ですか?
運送会社の人事課に勤めていたのですが、最初は2021年4月に勤務で登録をしました。ただ他の会社の仕事を請けたいので、兼業の許可を得て7月に開業登録に変更しました。
その後は兼業のまま社労士業務をおこなっていたのですが、結局2022年1月に退職し、現在は社労士一本で頑張っています。
ーー社労士一本にしたきっかけなどあったんですか?
やはり本業・社労士業・育児の三足のわらじがあまりに辛くて。特に開業直後は社労士業が初めてのことばかりで、慣れるまではかなり大変でしたね。
あと、以前から繋がりのある先輩社労士に焚きつけられたんです(笑)
「あのさ高木さん、副業兼業で社労士やってる人と社労士一本でやってる人がいて、高木さんならどっちにお願いしたい?」みたいな。
まあ専業は専業で違う辛さがあるんですけどね(笑)
最初の仕事や営業について
ーー最初の仕事はどうやって頂いたんですか?
最初の仕事は、初めて参加した経営者団体で初めて名刺交換した社長から就業規則の依頼でした。
ーー初めて名刺交換した社長からの依頼ってすごいですね!
経営者団体でお話したときに、就業規則に興味があるような話はされていたんですよね。
でもその場ではいったん終わりで。で、おそらくそのまま何もしなかったら受注できていないんですけど、また先輩社労士に焚き付けられまして(笑)
「メールして!打ち合わせお願いして!」と。
それでメールして、急いで資料作って打ち合わせして。それでもすぐには依頼があったわけではないのですが、2か月後くらいに突然連絡がきて「就業規則お願いします」と。
営業について
ーー能動的に行動を起こした結果ですね!その後も、そういった経営者団体の集まりには参加されているのですか?
そうですね、最初にいくつかお試しで参加して、その後は自分に合うものだけ参加してます。やっぱり経営者の方との接点は持っておいた方が良いと思うので。
ーー開業して、最初どう動こうか悩む人が多いみたいです。
経営者団体でも交流会でも、やっぱり何回も参加することが大事だと思います。自分がこの会に所属している社会保険労務士の誰誰だよっていうことは、やっぱり何度も伝えないと気付いてもらえないので。
ーー他の士業の方からの紹介もありましたか?
最初の頃にいろいろ動いて5人ぐらいの税理士さんと繋がって、いくつか顧問先を紹介していただきました。
最近はご紹介いただいてないですが、それでも単発で労務相談など税理士さん経由でいただくこともあるので、そこから顧問契約に繋がることもあるんじゃないかと思ってます。何かあったときに思い出してもらうためにも、やっぱり色々な人と繋がって、自分のファンを増やしていくことが大事ですよね。
そういえば経営者団体の会でも、まさにそういう事があって。
あるとき、経営者の方から突然電話がかかってきたんですよ。朝の通勤中に事故に遭って、保険の方から「社長は労災にならないだろうけど、一応社労士にも聞いてみた方が良い」って言われたみたいで。でも社労士の知り合いが私しかいなかったらしく、「あ、こういう事なんだな」って思いましたね。
変に自分を売り込むのも違うと思うので、地道に種をまいて咲くのを待つしかないですね。
支部活動について
ーー支部活動には参加されてるのですか?
はい、けっこう参加してます。これも先ほどの先輩に、参加した方が良いとアドバイスいただいて。最初の2回目くらいまではなかなか馴染めなかったんですけど、3回目くらいでようやく馴染めたというか、県会のお仕事をさせていただくことになりました。
これも先輩のアドバイスですね。支部の仕事を何かした方が良いって(笑)
ーー育児との兼ね合いは大丈夫そうですか?
それはきちんと伝えましたね。やりたい気持ちはありますが育児と両立できるなら、という風に。なので県会の仕事の会議も、子供の迎えがあるので早めに上がらせていただいてます。事前に前提条件を伝えておくことが大切だと思いますね。
支部会も定例会には参加しますけど、懇親会にはあまり参加できていないです。
事務所の移転
ーー今年の4月に事務所を移転されたんですよね?自宅だと集中しにくかったりですか?
最初は自宅開業だったのですが、2023年4月から近くのアパートに部屋を借りて移転しました。
私の周りの目指したい先輩とか同僚とかを見てると、ある日突然、もう1人ではやっていけないっていう日が来てるんですよね。いきなり大きな仕事がきたりして。
でも私の場合、人を採用しても自宅で働いてもらうのは無理だなと思って。
じゃあ仮にいきなり大きな仕事がきたときに、事務所の移転と人の採用を同時にできるかというとそれは難しいじゃないですか。だったら先に事務所を移転しようと思って探し始めたところ、ちょうど良いところに空きががあったので決めました。
ーー仕事が入る前から事務所を用意するのは勇気がいりませんか?
勇気はいりますね。社労士法人のお手伝いにも週1で行ってたのですが、それもこのタイミングで辞めたので。
でも自分が動けば周りも勝手に動き出してくれるっていう期待も込めて。あとはもう本当に売り上げを増やしていくだけです。
ホームページやシステムなど開業準備のこと
ーー開業時にホームページは作られましたか?
独立のタイミングで、ココナラでお願いして作ってもらいました。料金もかなり安かったです。
>>ココナラ
ただ自分で作っていないので、修正の方法が分からないところもあって。作っていただいた方にお願いすれば修正していただけるとは思うのですが、それはまた料金が発生するでしょうし。こういった時の対応はきちんと確認しておけば良かったです。
ーー事務所の理念など、かなり作りこまれていますよね。
SNSで知り合った方々とグループを作っていて、そこで事務所の理念などをみんなで考えてるんです。それこそ私が最終的にやりたいのは会社の組織形成なので、そういったところが伝わるようにアドバイスをいただいて作りました。
システム
ーーシステムは何か使われていますか?
私はセルズを使っています。周りの先輩で使ってる方が多かったのと、顧問先が増えるまでは一番コスパが良いっていう話を聞いたので。
ーー最初の仕事が就業規則というお話でしたが、KiteRa(キテラ)など使ってますか?
KiteRaは使いたいと思ったのですが、結局使ってないです。
KiteRaの特徴の一つに相互参照があると思うんですけど、相互参照であればWordでも設定できるんですよね。
相互参照とは
相互参照とは、文書内の他の場所にある項目を参照し、文言を自動的に引用して表示することです。たとえば就業規則に「第3条における・・・」という条文があったとして、もし条文の追加等があり条文番号が第3条から第4条に変更になった場合、相互参照を設定しておくことで条文が自動で「第4条における・・・」と変更されます。
ーーそうなんですか!?Wordは全然詳しくなくて(笑)
そうなんです。相互参照については書籍やDVDでも詳しく解説されてます。
就業規則を作ることを考えたときには、自分で相互参照など設定した雛形を依頼主用に修正するだけでも充分なのかなと思います。もちろん他にもKiteRaの良いところはありますが、あとは料金と相談ですかね(笑)
ブランディングのこと
ーー運送会社の人事部で働かれていたとのことですが、顧問先には運送会社が多いのですか?
今のところ特別多いわけではないです。一番やりたいのが会社の組織形成なので業界に特化してはいないのですが、運送業界には2024年問題もあるので、運送業界に力をいれても良いんじゃないかと少し迷ってます。他の人からも特化した方が良いって言われることが多くて(笑)
元ドライバーとか現場にいた社労士は他にもいるんですけど、運送の人事にいた社労士は貴重みたいで。人事にいたことで、ミクロな視点ではなくマクロな視点で会社のことを見れるというか。
ーー先日、運送業向けのセミナーもされてましたよね?
そうなんです。セミナーではあまり法律に触れなかったのですが、それがすごく意外で面白かったって言われました。人事制度のこととか、あとは荷主とか社会とかとどういった関係性を築いていくかっていう未来のお話をしたんですけど、それが良かったみたいです。
実際のところ私もすごく詳しいわけではないんですけど、業界にいた人間からすると普通のことでも、そうでない人にはすごく面白い話になるんだなって驚きましたね。
ーーホームページでは運送業をそんなに押してないですもんね。
ホームページは完全に組織形成ですね。なので、どうしようか悩んでるところです。TwitterやFacebookは運送特化にするとか、ホームページそのものは変えなくても、ペライチか何かで運送特化のホームページをもう1個作るとかですね。ブランディングについては悩み中です。
これから社労士開業を考えている方にメッセージ
ーー最後に、これから社労士として開業を考えてる方にメッセージをお願いします!
人生一度きりなので、もし気になるのであれば何でもチャレンジした方が良いと思います。 兼業での開業も可能だとは思いますが、開業するまでに様々な方法で仲間を作っておくことが大切だと思います!
まとめ
以上、開業社労士A.T.先生のインタビューでした。
将来的には企業の組織形成を支援していきたいと話す先生。
最後にもおっしゃっていますが、お話を伺っていると要所要所で後押ししてくれる先輩や助けてくれる仲間がいることに気付きます。これもきっと、先生の人柄の良さや話やすさ、色んな場に積極的に参加されているからなんだろうと思いました。
これから大きな変化を迎える運送業界ですので、まだ方向性には悩まれているとのことですが、きっとご活躍されるのではないでしょうか。
取材・編集:薬剤師tt
A.T.先生
2021年に神奈川県で社労士事務所を開業。前職が運送会社の人事課にいたので、運送会社の2024年問題に注力しつつ、将来的には会社の組織形成を支援していきたいと思っています。日々の営業や、ブランディングの事を考えるのが大好きです。