薬局やドラッグストアは女性の多い職場です。
特に大手は、かなり女性の働きやすさに力を入れていると思います。
https://adoyakunikki.com/archives/1402
とはいえ、就職活動をするとき、どうやって女性が働きやすい会社かどうかを調べていますか?
- 会社の説明会
- 実際に働いている人の話を聞く
どちらも良いことしか言ってなかったり、主観的な情報だと思ったことはありませんか?
そんなときに利用してほしいのが、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」です。
このサイトでは、女性活躍推進法に基づき各企業が策定した行動計画や女性の活躍に関する状況が公表されています。
このサイトを見れば全てが解決するとは言いませんが、他の様々な情報とともに、客観的指標の一つとして役立つはずです。
そんなわけで今回は、女性活躍推進法と女性の活躍推進企業データベースについて簡単に紹介しつつ、最後には実際にデータベースを使用して、株式会社アインファーマシーズと日本調剤株式会社について比較してみようと思います。
目次
女性活躍推進法とは
女性活躍推進法とは、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。
仕事で活躍したいと希望する女性が、個性や能力を存分に発揮できる社会の実現を目指して、2015年8月に成立した法律です。
この法律では主に
- 一般事業主行動計画の策定
- 女性活躍に関する情報公表
- 優良企業の認定(えるぼし認定)
について定めています。
一般事業主行動計画の策定
常時雇用する労働者が101人以上の事業主には、一般事業主行動計画の策定・届出が義務づけられています。
この計画では、自社の⼥性の活躍に関する状況把握、課題分析をし、定められた項目の中から少なくとも1つ以上(301人以上の事業主は2つ)の数値目標を定めた⾏動計画を策定します。
女性活躍に関する情報公表
一般事業主行動計画と同様、101人以上の事業主には女性活躍に関する情報の公表が義務づけられています
こちらも一般事業主行動計画と大きく変わりませんが、定められた項目の中から少なくとも1つ以上(301人以上の事業主は2つ)を選択して公表する必要があります。
優良企業の認定(えるぼし認定)
行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
- 採用
- 継続就業
- 労働時間等の働き方
- 管理職比率
- 多様なキャリアコース
これら5項目について、えるぼしの基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階が決まります。
- 5つ(全て)の基準を満たす:3段階目
- 3~4つの基準を満たす:2段階目
- 1~2つの基準を満たす:1段階目
男女の賃金の差異の情報公表
賃金構造基本統計調査によると、2021年の男女間賃金格差(男=100)は75.2ポイントとなっており、約25%の格差があります。
こうした男女間賃金格差の現状を踏まえて、令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされました。
情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられたのです。
今後、労働者が301人以上の会社では、事業年度が終了するたびに男女間の賃金格差を公表することになります。
賃金という一番わかりやすい指標で、女性が活躍できる会社かどうかが分かることとなり、会社選びに大いに役立つのではないでしょうか。
女性の活躍推進企業データベースでわかること
ここまで女性活躍推進法について紹介してきました。
女性の活躍推進企業データベースでは、これらの一般事業主行動計画であったり、
- 採用者に占める女性の割合
- 女性労働者の割合
- 女性管理職や役員の割合
- 年次有給休暇取得率
- 月平均残業時間
- 男女別の育児休業取得率
といったような、女性活躍に関して企業が公表している情報を検索することができます。
就職活動をするうえでも気になる内容が多いのではないでしょうか。
アインと日本調剤を比較してみた
というわけで実際に女性の活躍推進企業データベースを使用して、薬局大手の株式会社アインファーマシーズと日本調剤株式会社について調べ、比較してみます。
ちなみに、アインも日本調剤もえるぼし認定を取得しています。
働きがいに関する実績(女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供)
アイン | 日本調剤 | |
採用した労働者に占める女性労働者の割合 | (正社員)85.6% | |
採用における男女別の競争倍率 | 男性:2.5倍、女性:3.9倍 | |
採用における競争倍率の男女比 | ||
労働者に占める女性労働者の割合 | (正社員)76.8% (契約社員)88.1% (パート)93.9% |
(正社員薬剤師)62.3% (正社員医療事務)99.4% (正社員管理部門)39.7% |
係長級にある者に占める女性労働者の割合 | 47.6%(40人)(係長級全体(男女計)84人) | 65.4%(408人)(係長級全体(男女計)624人) |
管理職に占める女性労働者の割合 | 33.3%(298人)(管理職全体(男女計)896人) | 21.5%(118人)(管理職全体(男女計)550人 |
役員に占める女性の割合 | 31.5%(6人)(役員全体(男女計)19人) | 0%(0人)(役員全体(男女計)12人) |
男女別の職種又は雇用形態の転換実績 | ||
男女別の再雇用又は中途採用の実績 | ○中途採用実績 男性:11人、女性:138人 |
働きやすさに関する実績(職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備)
アイン | 日本調剤 | |
男女の平均継続勤務年数の差異 | (正社員)男性:7.1年、女性:5.8年 | |
男女別の採用10年前後の継続雇用割合 | ||
男女別の育児休業取得率 | (正社員)男性:27%、女性:82.4% ※男性育児休業平均取得日数 98.8日 |
|
一月当たりの労働者の平均残業時間 | (基幹的な職種)5時間 | (対象正社員)18.2時間 |
長時間労働是正のための取組内容 | ・変形労働時間制の活用 ・ノー残業デー |
残業時間が一定の基準に達すると上司へメールで通知するシステムを開発し、長時間残業者を確実にフォローできる体制を強化 |
雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の 平均残業時間 | (正社員)5.3時間 (契約社員)2.5時間 |
(正社員薬剤師)20.6時間 (正社員医療事務)13.8時間 (正社員管理部門)17.4時間 |
年次有給休暇の取得率 | ||
労働者の職業生活と家庭生活の両立に資する社内制度の概要 | ・在宅勤務 ・労働時間選択制度(週40時間、32時間、その他から選択できる) ・配偶者出産休暇制度 |
まとめ
いかがでしょうか。
アインに比べて日本調剤は公表してる項目が少ないですよね。
もちろん最低限の項目は公表しているので問題はないのですが、制度の趣旨を考えればもう少し色々と公表してほしいところです。
見方によっては、公表できるような数値ではないから公表していないとも捉えられるわけです。
そんなわけで、これらの数値を見て自分が女性だったら、どっちの会社で働きたいかな・・・
といったところで、今回の記事は終わりにしたいと思います。