社労士実務の知識

e-Govを使った電子申請における電子証明書とGビズIDの違い

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

社労士として開業して、電子申請しようと思ったときによく分からないのが電子証明書GビズIDではないでしょうか。

最初から業務システムを使うのであれば電子証明書一択かもしれませんが、最初のうちはe-Govで頑張るとなるとGビズIDという選択肢もでてきます。

そもそもe-Govとかマイナポータルとかも意味不明だったりしますよね。

そこで今回は、その辺りの電子申請に関係してくる内容をまとめてみようと思います。

特定法人の電子申請義務化

2020年4月から、資本金の額が1億円を超える等の特定の法人は、社会保険や雇用保険の一部の手続きについて電子申請が義務化されました。

政府はそれにあわせて、従来の電子証明書を利用した申請に加え、法人共通認証基盤のID/パスワード方式を新たに実施しました。

この法人共通認証基盤のID/パスワード方式というのがGビズIDのことです。

GビズIDとは

GビズIDは経済産業省管轄のサービスで、1つのアカウントで様々な行政サービスへのアクセスが可能となります。

以前より法人の補助金申請システムなどに利用されていましたが、電子申請義務化に合わせて社会保険・労働保険の電子申請プラットフォームとも連携することとなりました。

ちなみにGビズIDは無料で取得できます。

GビズIDを申請しました登録前にやることリストもまだ完了してないのですが、社労士の登録番号が分かったので、さっそく登録後にやることリストにも取り掛かりました。 ...

GビズIDでの電子申請

GビズIDを用いた電子申請には

  • e-Gov申請(2020年4月~)
  • マイナポータル申請(2020年11月~)

の2通りがあります。

マイナポータル申請は個人の申請になるので、電子申請が可能な手続きもかなり少ないです。

ですので、社労士としての電子申請であれば基本的にはe-Govを通した申請になります。

e-Govとは

e-Govは総務省管轄のポータルサイトで、2001年から運用されています。

>>e-Gov

「電子申請」や「法令検索」などのシステムがあり、「電子申請」では、これまで紙で行われてきた行政手続をインターネットで申請することが可能となります。

マイナンバーカードができたことでマイナポータルを経由した方法も増えましたが、電子申請といえば基本的にはe-Govを通して行われます。

「電子申請」を行うためには、原則として

  • e-Govアカウント
  • GビズID

のどちらかが必要となります。(Microsoftアカウントを使う方法もあります)

これまではe-Govアカウントでの申請が基本でしたが、GビズIDがe-Govでも使えるようになったことで、e-Govを使うための選択肢が増えたかたちになります。

e-Govアカウント作成の料金

GビズIDが無料というのは前述の通りですが、e-Govアカウントも無料で簡単に作成可能です。

ただしe-Govアカウントでの電子申請は最終的に社労士としての電子証明書が必要になるため、電子証明書を取得するための費用が発生します。

ですので社労士としてe-Govで電子申請をするためには、

  1. e-Govアカウント+電子証明書:有料
  2. GビズID:無料

この2つから選択するということになります。

電子証明書について

e-Govで社労士として電子申請を行うためには電子証明書を取得する必要があります。

この電子証明書の取得に料金がかかり、社会保険労務士の場合は有効期間が5年間で16,060円(税込)となります。

社労士の電子証明書を取得しました登録後にやることリストにあった ⑬電子証明書取得 時間がかかると聞いていましたが、ようやく取得できましたので記事にしていこう...

電子証明書とGビズIDはどちらがオススメ?

社労士としてe-Govで電子申請をするには2つの選択肢があるという話をしましたが、有料のものと無料のものがあれば、普通は誰もが無料の選択肢を選ぶと思います。

しかし実際は、多くの社労士が有料の選択肢を選んでいます。

それは何故かというと、無料のGビズIDでの申請ではできない手続きがあるからです。

GビズIDでは電子申請できない手続き

2020年当初は、GビズIDで電子申請できない手続きが結構ありました。

逆にGビズIDで電子申請できる手続きが以下に挙げるくらいで、電子申請が義務化された手続きでさえGビズIDでは電子申請できなかったりと、なかなかに中途半端でした。

2020年当初にGビズIDで電子申請できた手続き

社会保険
資格取得届・70歳以上被用者該当
資格喪失届・70歳以上被用者不該当
算定基礎届・70歳以上被用者算定基礎届
月額変更届・70歳以上被用者月額変更届
賞与支払届・70歳以上被用者賞与支払届
被扶養者(異動)届
国民年金第3号被保険者関係届

雇用保険
雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者転勤届
個人番号登録届

しかしその後はGビズIDで電子申請できる手続きが増えていき、メジャーな手続きはほとんどGビズIDで電子申請できるようになりました。

現状でGビズIDだと電子申請できないものとしては、

  • 健康保険の変更(訂正)届
  • 雇用保険の事業所設置届

などが挙げられます。

まあGビズIDでは電子申請できないものについては紙で申請すれば良い話です。

ですので、以前とは違って最近は、電子証明書にこだわらずGビズIDでも十分仕事になるのではないでしょうか。

提出代行に関する証明書の違い

電子証明書とGビズIDの根本的な違いとして、電子証明書は社労士であることを証明してくれるが、GビズIDは証明してくれないといった点が挙げられます。

ですので、電子申請時に提出代行に関する証明書を添付する際、GビズIDによる電子申請の場合は社労士証票もしくは特定社労士証票をあわせて添付する必要があります。

この証票によって社会保険労務士であることを証明します。

電子証明書の場合は証票の添付は必要ありません。

まあたいした手間ではありませんが(笑)

  • e-Govアカウント+電子証明書:証票の添付必要なし
  • GビズID:証票の添付必要あり

まとめ

以上、今回はe-Govを使った電子申請における電子証明書とGビズIDの違いについてまとめました。

結論としては、社労士として電子申請を行うには

  1. e-Gov経由でe-Govアカウント+電子証明書
  2. e-Gov経由でGビズID
  3. マイナポータル経由でGビズID

の3つの方法があるということになります。

この数年でいっきに変化していますので、気付いたら変化に置いていかれていた・・・なんて方も多い気がします。

とりあえず迷ったら、電子証明書もGビズIDも作っておきましょう(笑)