昨年末より、医療労務コンサルタントの研修を受講しています。
2024年4月から、医師に対する時間外労働の上限規制が適用されます。
私は病院というよりは薬局メインの仕事ではありますが、この上限規制に関する質問もいただくことがあり、医療機関の労務管理に対する知識をより深めたいと考えたからです。
実は社労士として開業すると決めた頃から、医療労務コンサルタントについては興味がありました。
ただインターネットで検索しても、情報がほとんど出てこなかったんですよね。
- 試験があるのか
- どうすれば研修を受けられるのか
- 社労士でないと受講できないのか
社労士になり、こういった疑問に関して、ようやく少し情報が入ってくるようになったので今回は記事にしてみようと思います。
医療労務コンサルタントに興味がある方に対して、少しでも役に立ってくれたら嬉しいです。
目次
医療労務コンサルタントとは
医師の長時間労働が問題となっています。
それだけでなく、医療業界には
- 医療機関特有の働き方
- 人事面の問題
があります。
社会保険労務士は人事労務管理の専門家であり、医療機関からの需要も高くなってきています。
こうした背景から、全国社会保険労務士会連合会では平成26年度より、都道府県会において「医療労務コンサルタント研修」を実施し、医療機関における人事労務管理の実務に詳しい社会保険労務士の育成が進められています。
この研修を修了し、認定を受けた社会保険労務士が、医療労務コンサルタントと名乗ることができるようになるのです。
医療労務コンサルタント研修について
肝心の医療労務コンサルタント研修ですが、こちらは社会保険労務士しか受講できません。
研修は都道府県会ごとに行われるので、研修の時期は都道府県会によって異なります。
研修の内容については、都道府県会によらず一緒のはず・・・です。
医療労務コンサルタント研修の内容
医療労務コンサルタント研修の内容ですが、今年はコロナ禍ということもあり、私が受講する研修はすべてオンラインとなりました。
第1部:eラーニング
第1部はeラーニングで講義を受講します。
講義時間は約4時間半で、厚労省や日本医師会、日本看護協会の方が講師でした。
社会保険労務士の方の講義もあります。
内容としては、医療勤務環境改善マネジメントシステムについての説明や、医療業界の現状、医療機関特有の労務管理についての話でした。
第2部:zoom
第2部はzoomでグループワークを行います。
時間としては約1時間です。
事前に3つケースが配られ、予習する時間が与えられます。
私のときは、
- 妊娠を機にマタハラを受けた女性医のケース
- 産婦人科医不足による労働時間の問題に関するケース
- 看護師の離職率が高い精神科医療機関のケース
が与えられました。
当日に1つのケースを指定され、10人弱のグループでディスカッションを行います。
私は、一番嫌だと思っていたマタハラを受けた女性医のケースが見事に指定され、グループディスカッションで苦戦しました(笑)
とはいえ、10人弱のグループでディスカッション時間が1時間もないわけですから、正直消化不良感は否めません。
一人2-3回しか発言していなかったと思います。
東京都の研修に参加
私は千葉県会に所属しているのですが、今年(毎年?)は東京都の研修に便乗するような形での参加となりました。
なので、申込先やメール案内等もすべて東京都の社労士会でした。
スケジュール感としては、11月中旬に案内があり申込。
第1部のeラーニングを12月中旬~1月中旬の約1ヶ月で受講し、第2部のzoomが1月下旬といった感じです。
すでに述べましたが、研修の時期は都道府県によって異なるようです。
ちなみに受講費用は10,000円でした。都道府県によって異なるかは不明です(笑)
医療労務コンサルタント研修は受けるべき?
ここまで医療労務コンサルタント研修について紹介してきました。
では実際に研修を受ける価値はあるのか。
個人的には、研修を受ける価値があると感じました。
理由としては2点あります。
理由1:制度や背景について学べる
社会保険労務士として働いていると、日本の医療制度について学ぶ機会というのはあまり無いと思います。
しかし医療機関の人事労務管理を行うにあたって、
- なぜ時間外労働が増えてしまうのか?
- なぜハラスメントが起こってしまうのか?
- なぜ収益性が悪化しているのか?
こういった問題について考えるためには、医療制度の理解が必要です。
現場の人たちがどういった制度や背景で働いているか理解せず、社会保険労務士としての知識のみで動いても、なかなか上手くいきません。
医療労務コンサルタント研修では医療制度の基礎的な説明も多少ありますし、医療業界特有の問題がどういった制度や背景に起因しているのかを学ぶことができます。
理由2:業務拡大の可能性がある
「医療労務コンサルタント」と名乗れる。
この肩書きがあることで、医療機関からどのくらい仕事の依頼があるのかは分かりません。
それよりも、行政協力の業務が拡大する可能性があると考えています。
医師に時間外労働の上限規制が適用されるからといって、全てを現場任せにするわけではありません。
詳しいことは省略しますが、医療機関の勤務環境の評価を行ったり、環境改善の支援を行ったりする機関があります。
そういった機関に、社会保険労務士も積極的に関わっています。
医療労務コンサルタント研修を修了しておくことで、今後そういった分野での行政協力も増えるのではないかと考えています。
まとめ
以上、今回は医療労務コンサルタント研修についての記事でした。
医療機関の人事労務管理は、日本の働き方改革において非常に大きなポイントになってくると思います。
医療機関の人事労務管理に強い社会保険労務士になるためにも、医療労務コンサルタント研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、このブログでも「薬局の人事労務管理」というテーマで、薬局を顧問先に持つ先生方に知っておいてほしいような内容を記事にしています。
もしよければ読んでみてください。