皆さんの会社、ボーナスはありますか?
多くの会社では、12月の上旬に冬のボーナスが支給されます。
最近はもうほとんど影響もないですが、新型コロナウイルスの影響が大きかった頃は、ボーナスが減額となっていた会社も少なくありません。
ゼロになったという会社もあります。
しかし、ボーナスを減額するというのは、法律的にどうなのでしょうか。
多くの場合は問題ありませんが、まれに問題となる場合もあります。
そういったケースも含めて、今回はボーナスに関する法律的な話を紹介します。
ボーナスは賃金?
以前の記事で『賃金支払いの五原則』を紹介しました。
労働基準法では賃金に関して厳しい規制があります。
では、ボーナスは賃金に該当するのでしょうか。
労働基準法では、賃金とは、
「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」
と規定しています。
賞与というのが一般的にボーナスですが、名称に関わらず、性質として『労働の対償』として支払われるものが賃金ということです。
一方で、任意的・恩恵的なものに関しては、労働の対償ではなく、賃金としても扱われません。
ボーナスは原則として賃金ではない
ではボーナスはどうなのかというと、一般的にボーナスは、任意的・恩恵的なものとして考えられています。
ですので、賃金としては扱われません。
しかし例外として、就業規則や労働契約などに、支給要件や支給時期、計算方法などが定められている場合が挙げられています。
こういった場合には、例えボーナスであっても労働の対償として考えられ、賃金として扱われます。
そのため、就業規則や労働契約にボーナスの記載をする場合でも、
- 支払わない場合がある
- 業績による
などと記載している会社が多いです。
以上のことから、就業規則や労働契約などに、支給要件や支給時期、計算方法などが記載されている場合、ボーナスの減額や不支給は労働基準法違反となる可能性が高いです。
一方で、記載されていなかったり、「支払わない場合がある」などの記載がある場合には、減額や不支給があっても違反とならない可能性が高くなります。
ボーナスの減額や不支給の理由
ここまで、ボーナスは賃金に該当するかという観点から、ボーナスの減額や不支給が違法かどうか見てきました。
次に、減額や不支給の理由から見ていきます。
有休取得を理由に減額
労働基準法では附則第136条に、
「使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」
と定めています。
このことから、有休を取得したことを理由として、ボーナスを減額することは、労働基準法違反となる可能性があります。
実際に過去の裁判で、有休取得日を欠勤扱いとして勤務日数を計算し、ボーナスを減額したことが違法と判断された例もあります。
しかしながら、ボーナスの計算方法や判断基準を事細かに記載している会社は多くありません。
減額の理由が「有休を取得したから」だとは、断定できないケースが多いです。
ですので実際のところ、有休取得者に対してのボーナス減額は行われているというのが現実です。
また、附則第136条が努力義務という判例もあるため、相当な額の減額でない限り、減額が違反と判断するのは難しいと考えられます。
産休・育休を理由に減額
育児介護休業法では第10条に、
「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」
と定めています。
また、妊娠・出産・産休に関しても、同様の定めが男女雇用機会均等法9条にあります。
これらは有休とは異なり義務規定であり、産休・育休の取得を理由としたボーナスの減額や不支給は、基本的に違法となる可能性が高いです。
例えば、産休・育休中の人をボーナスの支給対象者から除外することは違法となる可能性がかなり高いです。
一方で、過去の裁判で、ボーナスの算定期間中にかかる産休・育休期間の日数に応じて
支給額を減額すること自体は違法にならないと判断された例もあります。
もちろん、産休・育休期間の割合を超えて減額することは違法となる可能性が高いですが、適当な割合での減額は、違法とならない可能性が高いと考えられます。
まとめ
以上、今回は、ボーナスの減額は違法になるのかを紹介しました。
薬局・ドラッグストア業界も景気が良いとは言えず、今後ボーナスが減額となる可能性もあると思います。
そういったとき、法律や過去の裁判例を根拠に、もし法律に抵触するような減額であれば、しっかり主張すべきことは主張しましょう。