賃金

自宅と店舗、どちらの最低賃金が適用される?

10月1日から最低賃金が変更になることはご存知でしょうか?

薬剤師として働いてると、あまり最低賃金のことは気にしないかもしれません。

しかし調剤事務の人などは、意外と最低賃金ぎりぎりで働いていたりします。

そして今回、全国平均が961円から43円も上がり、いよいよ大台の1000円を超す1004円になるということで、かなり話題にもなっています。

2000年の最低賃金が全国平均で659円だったことを考えると、かなり上昇していることが分かるのではないでしょうか。

そんなわけで今回は最低賃金について紹介します。

管理職になった時のためにも、最低賃金について最低限のことは知っておきましょう。

最低賃金の種類

最低賃金については、最低賃金法という法律で定められています。

会社は最低賃金以上の賃金を払わなくてはいけません。

最低賃金というと、都道府県ごとに

  • 東京都:〇〇円
  • 千葉県:△△円

のように決められているものをイメージすると思いますが、実は最低賃金には2種類があります。

都道府県ごとの最低賃金を地域別最低賃金といいますが、もう1種類、特定最低賃金というものがあります。

これは、特定地域内の、特定の産業の労働者にのみ適用される最低賃金となります。

例えば、

  • 東京都の鉄鋼業:871円
  • 神奈川県の鉄鋼業:874円

などがあります。

しかし、場合によっては特定最低賃金よりも地域別最低賃金の方が高い場合もあります。

その時は地域別最低賃金が適用されます。

とはいっても、薬剤師には特定最低賃金がありませんので、地域別最低賃金だけ気にしておけば大丈夫です。

住んでる所と職場の都道府県が異なる場合

最低賃金が都道府県ごとと書きました。

では住んでいる所と職場の都道府県が異なる場合、どちらの最低賃金が適用されるのでしょうか。

この場合、職場の都道府県の最低賃金が適用されます。

例えば千葉県に住んでいる人が東京都の店舗で働く場合、東京都の最低賃金が適用されるということです。

本社と店舗の都道府県が異なる場合

本社が東京都で職場が別の都道府県というようなケースも、薬局やドラッグストアの場合は多いと思います。

この場合にも、職場の都道府県の最低賃金が適用されます。

本社が東京都で職場が千葉県なら、千葉県の最低賃金が適用されるということです。

派遣会社と派遣先の都道府県が異なる場合

最近だとコロナの影響で派遣薬剤師がかなり減ってしまいましたが、派遣の場合はどうなるでしょうか。

派遣として働いていると、派遣登録している会社と実際に働く職場で、都道府県が異なることも多いです。

この場合にも、実際に働く職場の都道府県の最低賃金が適用されます。

派遣会社が東京都、実際に働く職場が千葉県の場合、千葉県の最低賃金が適用されるということです。

テレワークの場合

そんなわけで、基本的には

『実際に働く職場の都道府県の最低賃金が適用される』

と覚えてもらえれば問題ないのですが、唯一の例外がテレワークの場合です。

薬剤師には少ないですが、近年はテレワーク可能な会社もかなり増えています。

東京都に本社がある会社に作用されたが、実際には沖縄県の自宅で働いてる場合。

なかなか理想的な働き方ですよね(笑)

こういった場合には、沖縄県ではなく、本社のある東京都の最低賃金が適用されます。

自宅が事業場としての独立性があるかという視点で判断されるのですが、まあ難しいので省略します(笑)

最低賃金の対象となる賃金

最後に、最低賃金を考える上で、対象となる賃金にはどんなものがあるのでしょうか。

これを知らないと、自分の給与が最低賃金を超えているのか判断できないですよね。

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。

具体的には、支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業代など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 深夜の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

通勤手当や家族手当は判断が難しい場合もあるので、そういう時は担当者に確認しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

薬剤師として働いてると、なかなか最低賃金を意識することは無いかもしれません。

しかし世の中には、最低賃金ギリギリで働いている人もたくさんいます。

そういった人達は、最低賃金の上昇を喜んでいることでしょう。

しかし中小企業の社長さんにとっては、なかなか辛いところです。

毎年のように最低賃金は上がっていますが、果たして本当に良いことなのか。

まあ答えの無い問題なのでしょうが、この機会に、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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