労災

労災認定されたときに受けられる給付

以前の記事で、労災に認定されるかは

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

この2つが大切と紹介しました。

これって労災?と思ったときに知っておきたい業務遂行性と業務起因性「これって労災になるんだろうか??」 仕事をしていると、まれにそういった機会に遭遇します。 薬局で働く薬剤師の場合、これまで...

では実際に労災と認定された場合、どのような給付を受けられるのでしょうか。

薬剤師は労災の可能性が低い職業ではありますが、それでも在宅業務が増えれば交通事故の可能性が上がります。

また最近では新型コロナで仕事を休んだときに労災を申請するという選択肢もあります。

労災でどのような給付をどのくらいの金額受けられるか知っておくことで、有休傷病手当金とも比較することができますので、ぜひ読んでいただければと思います。

労災保険の給付の種類

労災保険の給付には以下のような給付があります。

  1. 療養(補償)給付
    ⇒ケガや病気が治癒するまでの、病院や薬局でかかる費用の給付
  2. 休業(補償)給付
    ⇒ケガや病気の療養のため、労働が出来ない場合の給付
  3. 障害(補償)給付
    ⇒労災で障害が残った場合の給付
  4. 遺族(補償)給付
    ⇒労災で死亡した場合の、遺族に対する給付
  5. 介護(補償)給付
    ⇒障害等がのこり、介護が必要になった場合の給付

他にも細かな給付はありますが、とりあえずこの5つを知っておけば大丈夫。

薬局が関係している給付

そしてこの中で、薬局が関係しているのは療養(補償)給付です。

労災で怪我などをした患者さんが病院にかかり、その後に薬局で薬を貰って帰りますよね。

この療養(補償)給付のおかげで、労災認定の患者さんは薬局で費用がかかりません。(もちろん病院でもかかっていません)

アフターケア制度も薬局に関係ありますが、少し長くなるので別記事で紹介します。

労災で受給できる金額

大きく5つある労災給付のうち、とりあえず知っておいた方が良いのは

  1. 療養(補償)給付
  2. 休業(補償)給付

の2つです。

しかも①療養(補償)給付は病院や薬局で費用がかからなかったり、かかった費用を後から還付してもらえるだけです。

つまり実質、きちんと理解しておいた方が良いのは②休業(補償)給付だけということになります。

そんなわけで、ここからは休業(補償)給付に絞って受給要件や金額について紹介していきます。

休業(補償)給付の受給要件

休業(補償)給付を受給するためには、

  1. 業務上または通勤による負傷、疾病、療養による休業
  2. 労働することができない
  3. 賃金を受けていない

の3つの要件を満たした場合に、休業の4日目から受給できます。

この休業初日から3日目までの期間を待期期間といいますが、この期間は労災からの給付を受けられません。

しかし業務災害の場合には、会社が労働基準法に基づき休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うことになります。(通勤災害の場合はありません)

平均賃金の計算方法労働基準法を見ていると、様々な場面で平均賃金という言葉に出くわします。 これは「賃金の相場」のような意味ではなく、労働基準法等で定...

休業(補償)給付の金額

労災で休業した場合に受給できる金額は、以下の式で計算されます。

休業(補償)給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数

また、あわせて特別支給金という名目の給付も受給できます。これが

休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)× 休業日数

上記の式で計算されますので、休業中は休業(補償)給付と休業特別支給金をあわせて、給付基礎日額の80%を受給できることになります。

 特別支給金とは

労災保険では、労災認定された方への保険給付の他に、被災者の早期社会復帰等を目的とした社会復帰促進等事業を行っています。

その中のひとつが特別支給金であり、休業の場合には給付基礎日額の20%が給付されます。

また、薬局でもたまに関係するアフターケア制度も社会復帰促進等事業のひとつです。

 給付基礎日額とは

休業した日は給付基礎日額の80%を受給できるわけですが、では肝心の給付基礎日額はどのように求めるのでしょうか。

実は給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額とされています。

じゃあなんで平均賃金と言わずに、わざわざ給付基礎日額と言い換えてるんだって話ですよね。

もちろん色々と理由はあるのですが、まあ実際に受給することになったら知れば良い話なのでここでは省略します(笑)

平均賃金の計算方法労働基準法を見ていると、様々な場面で平均賃金という言葉に出くわします。 これは「賃金の相場」のような意味ではなく、労働基準法等で定...

具体例

では最後に、労災で休業した場合に受給できる金額を、具体例を出して計算してみます。

(例)
毎月30万円の賃金を受けており2023年10月に事故が発生した場合

1.給付基礎日額は労働基準法の平均賃金に相当しますので、まずは平均賃金を計算します。

平均賃金は原則として、事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3か月間の賃金総額を、その期間の歴日数で割った金額です。

給付基礎日額=30万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)

計算すると9,782円になります。(1円未満の端数は切り上げ)

2.次に、給付基礎日額をもとに受給できる金額を計算します。

  • 休業(補償)給付=9,782円×60%=5,869円(1円未満の端数は切り捨て)
  • 特別支給金=9,782円×20%=1,956円(1円未満の端数は切り捨て)

よって、休業(補償)給付+特別支給金=7,825円が、休業1日あたりに受給できる金額となります。

まとめ

以上、今回は、労災認定されたときに受けられる給付について紹介しました。

もし交通事故等で労災に認定された場合、病院や薬局でお金がかからないだけでなく、休業の補償があったり障害がのこったときの補償があったりと、様々な種類の給付があることが理解いただけたかと思います。

ただし具体例を見ていただけると分かる通り、休業1日あたりの金額としてはそこまで多くありません。

もし新型コロナで仕事を休んだ場合、単純にその期間のお金という意味では有休消化した方がお金を多く貰えるでしょう。

しかし、もし後遺症等が残ってしまい定期的に通院することになったら。

労災にしておけば、その後の通院等にかかる費用についても労災保険から受給できる可能性があります。

そう考えると、有休が良いのか労災が良いのか、あるいは健康保険の傷病手当金が良いのかって難しい話ですよね。

もしそのあたりのことで話を聞きたいなどあれば、気軽に問い合わせフォームから連絡いただければと思います。

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