健康保険

薬剤師なら知っておきたい薬局と高額療養費制度

社労士の勉強をしていると、薬局業務に関連する内容にもかかわらず全然知らないことが出てきたりして、すごく勉強になります。

その1つが、高額療養費制度を利用する時に、薬局の自己負担額を病院の自己負担額と合計して考えるということ。

それがどんな時に役立つかというと、21,000円を超す可能性が高くなるということです。

そんなわけで今回は高額療養費制度について、薬局が関わってくるところ中心にまとめてみようと思います。

70歳未満はレセプト単位で21,000円を超す必要がある

高額療養費制度を簡単に説明すると、医療費の自己負担額が1ヶ月の上限額を超えると、超えた分だけお金が返ってくる制度です。

上限額の詳細については後述しますが、70歳以上であれば、自己負担額を単純に合算して上限額を超えれば高額療養費制度が適用されます。

一方で70歳未満の場合、少し面倒な条件があります。

それが、レセプト単位で21,000円を超えてないと合算できないということです。

A病院、B病院、C病院、D病院、E病院で一ヶ月にそれぞれ20,000円ずつ自己負担額を支払っていたとします。

70歳以上なら合計10万円となって高額療養費制度が適用されますが、70未満だと合計0円となって適用されません。

かなり理不尽な気がしますが、現在の高額療養費制度にはそのような条件が付けられています。

薬局での自己負担額は病院と合算して考える

そんな時にポイントとなるのが、薬局での自己負担額は病院の自己負担額と合算して考えるということです。

先ほどの例と同じく、A病院、B病院、C病院、D病院、E病院で一ヶ月にそれぞれ20,000円ずつ自己負担額を支払っていたとします。

さらに、この5つの病院から処方箋が出ていて、それぞれa薬局、b薬局、c薬局、d薬局、e薬局で薬を貰っていたとします。

この薬局での自己負担額がそれぞれ2,000円だったら。

この場合、薬局での自己負担額2,000円を、処方元の病院の自己負担額と合算して考えるということです。

そうすると、自己負担額が22,000円。

条件である21,000円を超えているため、それらを合算して5つの合計110,000円。

晴れて高額療養費制度の適用を受けられることになりました。

処方箋がでて良かったね!笑

自己負担額の上限額

先ほどはいったん飛ばした上限額ですが、詳細はこんな感じになってます。

<70歳未満>

<70歳以上>

いや~細かい数字がいっぱいですね(笑)

とてもじゃないけど覚えられない。

ところで、44,400円という数字。

薬局で働いてるとよく見る気がしませんか。

会計が44,400円という患者さん、結構多いと思います。

では何故44,400円になるのか。そこまで説明できる方は少ないと思います。

その答えが、この上限額の表に隠されているのです。

平成30年8月から制度が見直された

ちなみに、2018年の7月までは、70歳以上の現役並みは1区分しかありませんでした。

みんな80,100円を少し超えたら高額療養費制度が適用されていたのですが、8月から少し変わりました。

70歳未満と同じように、もっと稼いでる人にはもっと払ってもらいましょうという改正です。

そうして、167,400円と252,600円の区分ができました。

現役並みって言葉が良くない

ちなみに表の中には現役並みという言葉が出てきますが、現役並みというのは70歳超えても自己負担割合が3割の人たちのことを指します。

標準報酬月額でいうと月28万円以上の人たちです。

でも現役並みって言葉よくないですよね。

現役世代、そんなに貰ってない人もたくさんいる気がします(笑)

まとめ

以上、今回は高額療養費制度について簡単に書いてみました。

薬局で働いていると、高額療養費制度の知識はたまに役立ちます。

やはり制度が複雑なせいか、理解できていない患者さんが多いです。

というか、医療費控除と区別ついてない人がすごく多いです(笑)

まあ普通はそうですよね。色々と難しすぎます。

そんなわけで、高額療養費制度については薬剤師もしっかり理解しておくことをオススメします。

薬だけでなく、医療費も含めた生活全般のサポートができる薬剤師を目指しましょう!!

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