薬局・薬剤師関連法

薬局も注意したい景品表示法。商品を良く見せるのはダメ?

近年、消費者を誤解させるような広告や商品表示が、問題視されるケースが増えています。

特に、企業が効果の根拠を十分に示せないまま「○○に効く」「□□ができる」と宣伝することで、消費者に誤った認識を与えてしまうことがあります。

例えば、2024年1月、「空間除菌」商品に合理的な根拠のない表示をしたとして、消費者庁から景品表示法違反(優良誤認)による措置命令を受けた例もあります。 

これは、「二酸化塩素の働きで浮遊するウイルスや菌を長期間除去する」との表記が、適切な試験方法による裏付けなしに行われたためです。

このような誇大広告や根拠のない表示 は、景品表示法(景表法)に違反する可能性があります。

この法律は、企業だけでなく、SNSでの商品の感想やPRでも関わってくる法律であり、SNSを利用する個人にも関わる問題です。

また、OTCや雑貨を販売する薬局にも関わってきます。

本記事では、景品表示法の概要、優良誤認とは何か、そしてSNSでの注意点などについて詳しく解説します。

景品表示法とは?

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法) は、消費者が適切な判断をできるよう、商品やサービスの表示・広告における不当表示を規制する法律です。

景品表示法の目的

景品表示法の目的は主に以下です。

  • 虚偽や誇大な広告を防止し、消費者を守る
  • 企業間の公正な競争を確保する
  • 消費者が適切に商品を選べるようにする

企業が商品を販売する際、科学的な根拠がない効果やメリットを過大に宣伝すると「不当表示」とみなされ、消費者庁から指導・措置命令を受ける可能性があります。

景品表示法における「不当表示」とは?

景品表示法では、大きく優良誤認有利誤認の2つの「不当表示」を規制しています。

優良誤認

商品の品質や効果などが、実際よりも著しく優れているように見せかける表示のことをいいます。

 優良誤認の具体例

科学的根拠のない効果を謳う

 「置くだけで99%のウイルスを除去!」→ 実証データがなければ違法

根拠のない健康効果

 「このサプリを飲めば絶対に痩せる!」→ 医学的根拠が必要

誇大広告

 「業界No.1!」→ 客観的データが必要

 

 実際、効果が合理的な根拠を欠いていたため、優良誤認として措置命令が出された商品もあります。

有利誤認

価格や特典が、実際よりも消費者にとって有利であるように見せかける表示のことをいいます。

 有利誤認の具体例

割引表示の不正

「通常価格10,000円 → 期間限定 5,000円!」 → 実際には元の価格が5,000円だった

誤解を招くポイント還元

「購入者全員に1000ポイントプレゼント!」 → 実際には特定条件を満たした人のみ

SNSにおける優良誤認の問題

景品表示法の規制は、企業の広告やパッケージだけでなく、SNSの投稿にも適用されます。

特に、インフルエンサーや一般ユーザーが根拠のない情報を拡散すると、景表法違反になる可能性があります。

企業のSNS広告

企業がインフルエンサーを起用し、PR投稿を行う際、商品説明に誇大な表現が含まれていると優良誤認に該当する可能性があります。

 企業のSNS広告のNG例

「これを飲むだけで1週間で5kg痩せた!」 

「このクリームを塗るだけでシワが完全に消える!」

「医師もおすすめ!」(実際には医師の推薦なし)

このような投稿には客観的なデータが必要です。

インフルエンサーや一般人の投稿

SNSでは、一般ユーザーの投稿も影響力を持ちます。 

そのため、個人が景品表示法に違反するリスクもあります。

 一般ユーザーのNG投稿例

「このダイエットサプリを飲んだら5kg痩せた!みんな試して!」

「この育毛剤、本当に髪が生えた!医学的に証明されている!」 

「この空間除菌グッズ、コロナ対策に最適!」(科学的根拠なし)

個人の感想であっても、科学的根拠のない情報を拡散すると、優良誤認とみなされる可能性があります。

景表法違反によるペナルティ

景品表示法に違反すると、以下の措置が取られます。

  • 消費者庁からの措置命令

 「不当表示を是正せよ」と指導が入ることがあります。

  • 課徴金納付命令

 違反により得た売上の3%を納付となることも…(売上が大きいと数億円規模に)

  • 刑事罰

 悪質な場合、懲役や罰金が科されることもあります。

 

企業だけでなく、個人のSNSユーザーも誤った情報拡散に注意する必要があります。

まとめ

  • 景品表示法は、消費者を守るために虚偽や誇大な広告を規制する法律。
  • 優良誤認とは、実際よりも商品をよく見せる誤解を招く表示のこと。
  • 科学的根拠が不十分なものは優良誤認に該当することもある。
  • SNSでも優良誤認が問題になり、インフルエンサーや一般ユーザーの投稿も注意が必要。
  • 違反すると企業は措置命令や課徴金、刑事罰の対象になる可能性がある。

SNSを中心に情報が溢れていますから、消費者としても「本当に科学的根拠があるのか?」「誇大広告ではないか?」 と冷静に判断し、SNSの情報に踊らされないようにしましょう。

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