出産・育児

産休の基礎知識

2022年生まれの赤ちゃんの数が、80万人を下回ったとのことです。

少子化に歯止めがかからない日本ですが、国は「異次元の少子化対策」を標榜しています。

2022年には育児介護休業法の改正も行われました。

育児休業については別の記事で触れるとして、今回の記事では育休の前段階である産休について紹介します。

薬局・ドラッグストアは女性の多い職場ですので、産休・育休についてしっかり理解しておきましょう。

産休とは

産休とは労働基準法で定められた制度であり、大きく産前休業産後休業に分けることができます。

産前休業
6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけない。

産後休業
産後8週間を経過しない女性を就業させてはいけない。ただし、産後6週間を経た女性が請求した場合には、医師が支障ないと認めた業務に就業させることは差し支えない。

この微妙な違いが分かるでしょうか。

産前休業は従業員が希望しなければ、出産ギリギリまで働くことができます。

一方の産後休業は休むことが義務ですが、6週間たって医師がOKと言えば、8週間たたなくても働くことができます。

ちなみにこの産休制度。労働基準法に定められているということは、労働者に関する制度ということです。

つまり、労働者ではない、例えば経営者やフリーランスには関係ない制度ということになります。

経営者やフリーランスは自分のペースで仕事してるんだから、自分の好きなタイミングで休んでねということです。

社会保険料の免除

産休中は、社会保険料が免除されます。

免除期間は、休業を開始した月から終了前月までとなっており、社会保険料が1か月単位での納付となるため、このような期間となっています。

なお、社会保険料を納めないと将来の年金が減るのではないか、と懸念される人もいるかもしれません。

しかし、将来の年金額が減ることはない仕組みになっているので心配ありません。

出産手当金

産休中は、会社からの給与が保障されません。実際に多くの会社が産休中は無給です。

この場合、健康保険から出産手当金を貰うことができます。

産休=出産手当金と思われがちですが、

  • 産休:労働基準法
  • 出産手当金:健康保険法

と、定められている法律が異なります。

そのため、労働者であれば産休は取れますが、出産手当金が貰えるかはまた別の問題です。

実際に、会社の健康保険に加入していれば出産手当金をもらえますが、加入しているのが国民健康保険だともらえません。

保険料や給付内容など、社保と国保の違い以前の記事で、社保のルールについて紹介しました。 https://adoyakunikki.com/pharmacist/arch...

出産手当金を貰える期間

出産手当金を貰えるのは、出産予定日の42日前から出産後56日目までの98日間です。

出産が予定日より遅れた場合はその日数もプラスされますし、予定日より早まった場合はマイナスされます。

ただし、貰えるのは実際に産休で休んだ期間です。

前述の通り、産前休業に関しては労働者が請求しなければ、出産ギリギリまで働くことが可能です。

その場合には、働いた期間は出産手当金がもらえません。

また出産手当金の金額よりも多く給与が支払われていた場合も、出産手当金はもらえません。

出産手当金で貰える金額

出産手当金の1日あたりの金額は以下の計算式で計算されます。

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)

標準報酬月額については以前の記事でも書いています。

標準報酬月額って何ですか?仕事をして貰う給与からは、色々なものが引かれます。 所得税や住民税、雇用保険料に社会保険料・・・ この中で、所得税や住民税、...

まあ簡単にいえば、働いてたときの2/3がもらえるってことです。

前述の通り社会保険料が免除されているうえに、出産手当金は所得税等が引かれないので、手取りとしてはけっこう多く感じると思います。

出産育児一時金

最後に、産休とは関係ないのですが出産育児一時金についてです。

出産手当金とよく間違えられるのが出産育児一時金です。

出産手当金は健康保険に加入していないともらえませんが、出産育児一時金は国民健康保険でももらえます。

基本的には出産すれば誰でももらえると思ってもらって大丈夫です。

金額は1児につき50万円です。

まとめ

以上、今回は産休の基礎知識について紹介しました。

以前は出産を機に退職する人も多かったですが、現在ではかなり多くの方が産休→育休を経て仕事に復帰します。

金銭的にも、退職せず仕事に復帰した方がメリットの大きいような制度を国は用意しています。

薬局やドラッグストアは女性の多い職場ですので、こういった制度をきちんと理解し、女性の働きやすい職場にしていってほしいと思います。