(特定)社労士試験

特定社会保険労務士になると何ができるの?

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特定社会保険労務士になるための特別研修に申し込んだ話を先日記事にしました。

今後も特定社労士に関する記事は定期的に続けていこうと思っているのですが、今回はもっともベースとなる部分で、特定社労士になったら何ができるの?という記事です。

今さら?っていう声も聞こえてきそうですが、実は社労士試験のときには、ここがあまり分かっていませんでした(笑)

120万円以下(当時は100万円だったかな?)という単語だけ覚えて試験に挑みました(笑)

しかし120万円が関係するのって、特定社労士になったらできる業務の一部なんですよね。

そういったことを全然知らなかったので、今回まとめてみようと思います。

裁判外紛争解決手続(ADR)とは

まず初めにADRについて。

特定社労士になるための試験の正式名称が「紛争解決手続代理業務試験」であるように、特定社労士になるとADRの代理業務が可能になります。

ではADRとは何かというと、その名の通り

裁判によらず当事者双方の話し合いに基づいて、あっせん、調停、仲裁などの手続きによって紛争の解決を図ること

です。

労働にかかわるトラブルが発生したとき、まず思い浮かべるのが裁判です。

しかし裁判はお金も時間もかかるうえ、内容が一般に公開されるので、会社も従業員も双方が精神的に傷つけあう結果になりかねません。

そんなときこそ裁判外での解決を図れるADR(裁判外紛争解決手続)の出番であり、その代理業務を、特定社労士になるとできるようになります。

特定社会保険労務士になったらできる業務

まず簡単にADRについて理解したうえで、もう少し詳しく見ていきます。

特定社労士になったからといって、ADRの業務が全てできるわけではありません。

具体的には、

  1. 都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続等の代理
  2. 都道府県労働局における障害者雇用促進法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム・有期雇用労働法調停の手続等の代理
  3. 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理(単独で代理することができる紛争目的価額の上限は120万円

これら3つの業務ができるようになります。

あっせん、調停、仲裁などADRの種類

ADRには、あっせん、調停、仲裁の3種類がありますので、それぞれの特徴を簡単にまとめます。

あっせん

あっせんは、あっせん人(あっせん手続きを進行する専門家)が間に入り、当事者同士の話し合いを進めて解決を図ります。

あくまで当事者同士の話し合いによる解決を目指す制度のため、話し合いがまとまらないこともあります。

調停

調停は、当事者同士の話し合いで解決を図るという点はあっせんと同じです。

しかし、原則として調停人が調停案を提示し、その受諾を勧告することにより紛争を解決しようとする制度です。

仲裁

仲裁は、あっせんや調停とは異なり、和解による解決ではなく第三者に、裁判所の判決に代わる「仲裁判断」を下してもらう制度です。

厚生労働大臣が指定する団体とは

ここまで特定社労士になったらできる業務を見てきましたが、私が社労士試験のときに覚えた120万円という金額は、③の厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の場合にのみ関係することが分かります。

では、この厚生労働大臣が指定する団体とはいったいどんな団体を指すのでしょうか。

行政型ADRと民間型ADR

ADRは大きく行政型ADR民間型ADRにわけられます。

行政型ADRはその名のとおり、都道府県労働局などの行政機関で行われるADRのことをいい、特定社労士にできる業務のなかでは①や②が該当します。

一方で民間型ADRは、厚生労働大臣が指定する団体にて行われるADRのことをいい、特定社労士にできる業務のなかでは③が該当します。

そして、厚生労働大臣が指定する団体の具体例としては、社労士会労働紛争解決センターなどがあります。

つまり特定社労士は、社労士会労働紛争解決センターなどの厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理業務の場合には、紛争目的価額の上限が120万円となります。

まとめ

以上、今回は、特定社労士になったらできる業務についてまとめました。

特定社労士になっても実際のところ、こういった業務を扱う機会はほとんど無いと思います。

しかし、もし労働者から労使トラブルの相談を受けるのであれば、知っておいた方が良い知識だと思います。

裁判以外にもどんな解決方法があって、それぞれどういった行政機関や民間団体を労働者に案内すれば良いのかが整理できますね。

それと同時に、こんなことも知らなかったのに特定社労士になるための研修や試験は大丈夫なんだろうかと不安になりました(笑)